「アメリカン・スナイパー」「ハドソン川の奇跡」など、イーストウッドは実話の映画化に熱心だ。しかしこの作品は究極。テロ事件に遭遇し、ある行動をとった三人の若者を実際のその人物たちに演じさせたのだ。
おかげでニュース映像との境目が消失し、異様な緊迫感。素人であることが信じられないくらい自然な演技の三人だが(演出がすばらしいに決まっているのだが)、おかげで興行成績はふるわず、酷評する人も多い。
わたしも、当事者が演じたことを知っていたのでイーストウッド作品なのにこれまで見ていなかったの。「若乃花物語」ですか「川上哲治物語」ですか、と。あと、見ていないのは「インビクタス」ね。感動するに決まっているので今週も借りたのにそのまま返してしまいました。なんでだ俺。ラグビーがダメなのか。
この映画がすばらしいのは、むしろ主人公たちの普通の生活が魅力的に描かれていることだ。ルーザーと呼ばれても仕方のない彼らの人生のなかで、テロに立ち向かう英雄的行動に出ることが必然であるかのように自然に描写されている。さすが、名匠の腕前です。うーん、でも「インビクタス」は……