事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

鎌倉殿の13人 第30回「全成(ぜんじょう)の確率」

2022-08-08 | 大河ドラマ

第29回「ままならぬ玉」はこちら

またしても朝日新聞の三谷幸喜によるエッセイ「ありふれた生活」(くどいようですけど全然ありふれてないです)を読んでいるアドバンテージを利用させてもらえば、頼朝の弟である全成(新納慎也)は、最初はもっと「悪禅師」と呼ばれたキャラなので豪胆な演技を求められたらしい。でも、「真田丸」の新納のいい味を思い出した三谷は、より気弱な愛妻家として全成のキャラを変更したのだそうだ。

大成功だと思います。

全成と実衣(宮澤エマ)の夫婦のやり取りこそ、実は陰惨な大河のなかで一服の清涼剤だったではないですか。まるでアメリカのホームドラマ(「ルーシー・ショー」とか「奥様は魔女」とか)のように、ブラウン管(そんな時代)のなかから観客の笑いが聞こえてくるかのよう。

気弱な全成のことだから、呪殺や祈祷を頼まれても、自分の成功の確率は半分にすぎないことを誰よりもわかっている。それが、比企と北条の主導権争いに巻き込まれ、おのれの運命を100%確信する……みごとな脚本だ。

北条義時(小栗旬)の背後に善児(梶原善)を控えさせ、一気にけりをつける展開かと思わせてツイスト。やるなあ。

さて、これだけのキャラを退場させてこれからどうなるんだろう。ひょっとして、北条政子と実衣の姉妹漫才が増えてくるんだろうか。

「政子姉ちゃんは後家の先輩やし」

「実衣、そんなセリフよう言わんわ」

とか。まさかね。

第31回「諦めの悪い男」につづく

コメント (4)
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