第31回「諦めの悪い男」はこちら。
元同僚と居酒屋で飲んでいて、この大河の話になる。
「義時の最初の奥さんって、新垣結衣だったじゃん」
「うん。」
「でも俺はさ、二番目の人の方が好きかな。名前も知らないけど」
堀田真由です。わたしも知りませんでした。
「実は俺、新垣結衣ってちょっと苦手で」
好き好きというものはあるものだ。その堀田真由が、比企の縁者であることで退場。北条の嫁として実家を裏切ったにもかかわらず。
それにしても気合いの入った演出だった。二度の平手打ちが描かれるが、小池栄子と小栗旬が対峙するシーンはおみごと。
脚本も相変わらず周到で、まず善児(梶原善)の弟子トウ(山本千尋)のキレキレの体技での惨殺を描き、そして子どもの前に善児が立ちはだかる。これはもうこの暗殺者のためにまた子殺しが行われるだろうと思わせて……
逆に、善児がその子を育てている皮肉。義時に殺せと命ぜられるが、一度は断る善児の表情が悲しい。
「わしを好いてくれている」
この大河で最も恐ろしい存在だった善児をも突き放す義時。ついにこの大河におけるもっともダークな存在に義時が昇格した瞬間。
第33回「修善寺」につづく。