現在までに13冊も出ている長大な数学ミステリ。
少年犯罪増加の原因が義務教育にあるとされ、日本政府は理系科目を削減し、道徳や芸術系の教科を増やした。そのことに失望した一部の数学者たちはテロ組織を結成し、数学を利用した暴力行為を始める。
しかしそこへ、普通の公立中学校に通う普通の中学生、浜村渚が登場する。彼女の数学の能力は普通ではなかった……
いやこのシリーズはほんとに面白いんですよ。ミステリとしてももちろんだけど、扱っている数学自体が魅力的なのだ。
高校時代は理系クラスだったのに、文学部に進んだわたし(つまり、理系から逃避したのだ)ですら、ああ数学とはこんなにも摩訶不思議なのかと満足。
テーマになっているのは素数、フィボナッチ数列、円周率、アキレスと亀、無理数など。めちゃめちゃに複雑な諸問題を「面白い」と感じさせてくれるのだからたいしたものだ。
これは、青柳碧人が塾の講師だった時代に、子どもたちに算数・数学を好きになってもらいたいと工夫を重ねた経験によるのだろう。新作、待ってます。