事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「私の記憶が消えないうちに」吉田日出子著 講談社

2021-11-06 | 芸能ネタ

何度も申し上げているように、わたしはライブというものが苦手だ。あの空気感、緊張感、高揚感がしんどい。

客とのやりとりでそのライブ自体が変容していくわけなので、こりゃ客もたいへんだ。その点、映画やテレビは気が楽。

そんな根性なしのわたしが、若いころに演劇鑑賞会になぜ加入していたかというと……ま、いろいろとありまして。生身の役者たちを数多く見れて、いっしょに撤収の作業までやったのもいい思い出だ。名古屋章さんとか、あめくみちこさんとかってすごくいい人だった。

しかし、しかし本当にこのライブを見てよかった!と思えたのが自由劇場の「上海バンスキング」だった。吉田日出子の独唱には震えが来た。

それまで、わたしにとって吉田日出子はなんといっても「巨泉×前武ゲバゲバ90分!」(日本テレビ)で達者なコントを見せてくれるコメディエンヌだった。

井原高忠が企画し、井上ひさし、喰始(WAHAHA本舗主宰者)、松原敏春(熱中時代の脚本家)が書いていたあの度外れたバラエティのなかでも彼女は光り輝いていた。そして、そのイメージを完全にくつがえしたのが上海バンスキングだったの。

そんな彼女(と彼女の母親)の自伝。なぜ書かれたかといえば、タイトルにあるように高次脳機能障害のために記憶が消え始めているから。

いやそれにしてもすごい人生。三人の父、数多くの恋愛(小日向文世ともいっしょに住んだ時期があるとか)、そして芝居への情熱。

なにより感じ入ったのは、彼女が最後に深く深く愛したのが、ペットの犬だったという事実。そうだったのかあ。わかるなあ。


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