THE FRENCH CONNECTION Clip - "Car Chase" (1971) Gene Hackman
デイビッド・リンチ篇はこちら。
今月の訃報シリーズはお休みしようと思っていた。義母や愛猫の死からまだ立ち直っていないし、わたしが扱うような著名人の死も報じられていなかったから(と思ったらなんとみのもんたが!)。
そこへ、ハックマンの謎の死がニュースに。妻と、愛犬と、本人が死んでいて、かなり時間も経っていたとか。どの順番で死んだのかもわからない。事件性はないとのことだが……
マスコミはまず代表作として「フレンチ・コネクション」を挙げていて、これは文句のないところだろうと思う。高架の鉄道の下を無茶な運転で追跡するポパイ刑事のありようはみごとで、強烈なラストによく合っていた。
わたしが初めて彼を観たのはおそらく「ポセイドン・アドベンチャー」。天地が逆になった豪華船からの脱出劇。リーダーとなる神父は、しかし神に絶望しているのが伝わる。ネタバレになるけれど、彼は結果的に間違うのだ。
順番は逆になったけれども、フレンチ・コネクションはPART2を先に観た。1作目がカーチェイスだったので、こちらはポパイをひたすらに走らせる。うまい。
メル・ブルックスの「ヤング・フランケンシュタイン」では「今宵はさみしい。誰か来ないかな」とつぶやく隠者を演じて笑わせ、コッポラの「カンバセーション…盗聴…」ではみごとなサスペンスを構築していた。
次第に大物感が出てきたので「スーパーマン」シリーズにおける悪役レックス・ルーサー役はよく似合った。自分が天才だとうぬぼれているルーサーのセクシーな秘書が、ひそかに「純粋理性批判」を読んでいるあたりのギャグも最高。経済的にも彼に貢献した作品だったのではないでしょうか。
悪役がやはり似合う人で、イーストウッドの「許されざる者」、シドニー・ポラックの「ザ・ファーム」はみごとだった。ぎらつく悪と、奇妙な愛敬の同居。得がたい名優だった。そうか、もうジーン・ハックマンはいないんだ。ああまたメンタルが。
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