事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ホテル・ムンバイ」Hotel Mumbai(2019 GAGA)

2020-10-03 | 洋画

2008年にインドのムンバイで実際に起こったイスラム過激派による(とされる)テロを再現。そのありようは安上がりの9.11とでも形容できそう。同時多発である。

ボートでムンバイに上陸したテロリストたち。携帯電話で首謀者の指示を受けながら、駅、レストランなどに散開し、機関銃や手榴弾で殺戮を開始する。

このあたりの演出がクールですばらしい。残酷な描写が続くのでR15+は当然だろう。

主人公は五つ星のタージマハール・ホテルに勤務するアルジュン。演じているのは「スラムドッグ・ミリオネア」で泣かせてくれたデーヴ・パテールだ。

念入りにターバンを巻くシーンから登場。彼はシーク教徒であり、ターバン着用は戒律上の義務なのである。そしてこのターバンがストーリーに再三からんでくる。周到な脚本。アルジュンは娘と臨月の妻を愛する家庭人。出勤のときに靴を忘れてしまい、この設定もあとから活きてくる。ダイ・ハードのマクレーン刑事の引用。

最初の殺戮を終えたテロリストたちは、次の標的のタージマハール・ホテルに移動。ここから、史上最悪のかくれんぼ&鬼ごっこが始まる。登場人物が善人か悪人かにかかわらず、あっさりと殺されていく描写が怖い。

犯人たちが少年であることがやるせない。彼らはイスラムの教義を信じ、首謀者に私淑している。だが、やり取りのなかから、首謀者が少年たちを使い捨てにしていることが観客に提示される。

少年たちは極度の興奮状態のなかでロビーや客室の従業員や宿泊客を屠っていく。特に外国人が標的になっていて、いかにもアメリカ人のデビッド(「J.エドガー」「ローン・レンジャー」のアーミー・ハマー)は、部屋に残った娘とベビーシッターのために……

そしてホテルマンたちは、自身を犠牲にしてゲストを守る。職業人としての誇りがラストで結実。まさかと思いましたがこのスリラーでわたしは感動すらしてしまいました。傑作です。ぜひ。


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