日本においてこの作品はとても不幸な公開のされ方だった。
米国では原爆の開発者を描いた「オッペンハイマー」と同日の公開だったのがことの始まり。オッペンハイマーの監督クリストファー・ノーランは、ワーナーが配信に軸足を移したことを批判して、ワーナーからユニバーサルに配給を変更した。その意趣返しとしてワーナーはこのバービーを同日に公開することにした……まあ、真相はよくわかりませんけど。
ということでバービーとオッペンハイマーは組み合わされてバーベンハイマーという造語まででき、結果的に両方とも大ヒットした。特にバービーは女性監督の作品として「ワンダーウーマン」を抜いて首位に立つほどだ。
ところが、そのバーベンハイマーについてのSNSの投稿で、バービーと原爆のキノコ雲が合成された写真が登場するなどしたせいで、被爆国である日本では両方とも批判されることになったのである。
オッペンハイマーは本来であればユニバーサル作品なので、日本では東宝東和が配給するはずなのにビターズ・エンドに変更。しかし作品のチカラで高評価を得る。
さてバービーは?予想よりもはるかに弱い興行になってしまった。日本ではバービーはあまり一般的ではないとか後付けの理屈も散見されたけれど……
さあ見てみました。
とにかく映画として面白いのは確かよね。その意味でとても満足できる。しかし日本で受けなかったのは、現実世界が(バービーの住む世界とは逆に)男尊女卑がはびこっているのを皮肉ったその姿勢にあると思う。作り手も(それは製作者をかねた主演のマーゴット・ロビーを筆頭に)驚くほどむき出しにフェミニズムを前面に押し出している。そんな作品がうけないあたり(なかには公開中止になった国もあるが)日本の後進性を現わしていると考えるのはうがちすぎ?
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