住民がいなくなった地域に、都会から人を呼び込んで甦らせようという仕事を“押しつけられた”公務員たち。田舎暮らしにあこがれる候補者たちは、しかし次々にこの土地を離れることになる……。
能天気な都会人を米澤(岐阜県出身)は断罪しているわけではない。主人公の弟の主張する「都会に住むほうが絶対に合理的なのに」という理屈にも説得力がある。
「Iの悲劇」の妙味はここに。しかしミステリとして雑味が多いのかなとも。読み終えて、いつもの米澤穂信作品にある幸福感が少ないのも残念でした。狙いがそこにはないことを承知しながら、わたしはどうしても彼に期待してしまう。まるで田舎暮らしがパラダイスであるかのようなファンの思い入れですけど。
地方公務員として、あまりに身につまされたってこともあるでしょうけどね(笑)。住民が点在すれば、除雪ひとつとってもコストがいきなり増大するもんなあ(遠い目)。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます