原作は吉田秋生(わたしにとってはBANANA FISHの人)のコミック。是枝裕和が長い時間をかけて実写化。絶賛の嵐だった。それでもわたしがなぜ見ていなかったかといえば……
あまりにも豪華なキャストに驚く。主演の四姉妹に
長女……綾瀬はるか
次女……長澤まさみ
三女……夏帆
四女……広瀬すず
である。もちろん、この映画以降にたとえば広瀬すずはスターになったり、それぞれがキャリアを積み上げたわけだけれども、それにしたってすごい。
四姉妹だけでなく、脇役に樹木希林や前田旺志郎、リリー・フランキーといった是枝レギュラー陣が加わり、堤真一、加瀬亮、風吹ジュンが登場し、小さな役でも鈴木亮平、坂口健太郎、キムラ緑子まで出てくるのである。
極めつけは四姉妹の母で、もうこの人しかありえない演技を大竹しのぶが見せてくれる。おまけに音楽は菅野よう子(わたしにとっては攻殻機動隊の人)、なんて贅沢な。
作家の恩田陸は、四姉妹の物語は“強い”と語っている。若草物語にしても谷崎の細雪(ささめゆき)にしても、ドラマをたっぷりと仕込むことができると。なるほど。
舞台が鎌倉で、樹木希林が「大船の叔母さん」として登場するのだから、原作も映画も小津安二郎を意識しているのが理解できる。俳優の所作のひとつひとつにまで丁寧に演出されているあたりからもそれはわかる。つまり、是枝は
「小津安二郎が細雪を撮る」
ようにして作品を完成させたのだ。鎌倉の風景が、かつてすずが住んでいた山形のそれと重なると吐露するあたり、んもう泣けて泣けて。
そうなの。絶対にわたし泣いてしまうであろうことが予測できたから、この作品を敬遠していたのだった。でも見てよかった。見逃さなくてよかった。
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