「パリ警視庁迷宮捜査班」シリーズの2作目。南仏の、豪華絢爛でまばゆい太陽の下で繰り広げられる連続殺人事件……と太陽がいっぱいなイメージのタイトルだけど、これは翻訳家や編集者がしこんだしゃれで、南仏でも12月は寒いんだということが登場人物たちの不平で理解できて笑わせてくれます。
そう、前作以上にこの続篇はコメディ色が強くなっています。
パリ警視庁の落ちこぼれをすべて集めたかのような迷宮捜査班。作家稼業のおかげで壮絶な金持ちのおばさんは、オフィスをどんどん飾り立て、あまりの運の悪さにまわり中から敬遠されている男は、パリ警視庁だけでなく全国的に有名、というか悪名がとどろいており、唯一まともに見える班長のカぺスタンは、しかし怒りのあまりに容疑者を……
奇天烈な行動をとる班員のなかでも、今回登場する新人は群を抜いている。自分を本気で銃士だと思っている時代錯誤ぶり(おそらく、彼については新展開がこれから用意されているはずだ)。パリの街中をポニーに乗って疾走するとは「君よ憤怒の河を渉れ」の高倉健ですか。
おまけに犬が参加するのはまだしも、今度は〇〇〇まで……
そんな彼らをまとめなければならないカぺスタンの苦労は並ではない。誰からも相手にされない落ちこぼれ軍団は、しかし元警視正殺人事件に臨場させられる。被害者はカぺスタンの元夫の父親だったからだ。
この、元夫の職業がコメディアン。しかしこの作品では、彼とカぺスタンだけがシリアスな役回りという皮肉。次作も楽しみにしています。
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