海族と山族という、出会ってはいけない、しかし遭遇することで軋轢が必ず起こるふたつのグループ。そしてその紛争に介入せずに見守るだけの審判……このテーマは版元が“螺旋プロジェクト”として用意したもの。多くの作家が一大サーガを完結するために時代ごとに書いている。
で、伊坂幸太郎が受け持った表題作は昭和の時代。そして次の「スピンモンスター」はその数十年後。
“お題”を設定されることは、伊坂にとってむしろ望むところだったのではないか。何を書くかよりも、どう書くかにひたすら傾注。
嫁と姑の気が合わないという普遍的なお話(笑)が、とんでもない方向に転がっていく快感は、もうわたしの家庭から過ぎ去っているからこそ楽しめるのかな。あ、実は終わってなかったりするのかな。怖いから考えるのをよそう。
そしてスピンモンスターへのつながり具合が伊坂の真骨頂。こういうことがやりたいから伊坂ワールドではレギュラー陣がかたまっているんだろうなあと納得。
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