ドゥニ・ヴィルヌーヴは際立って特異なセンスをもった映画監督だ。近年の作品では
・「ボーダーライン」における、空港まわりの凹凸だらけの道路を走るコンボイを組んだハンビーの上下動。
・「メッセージ」に登場する「殻」の浮遊感と、同時に異様な物体に見えるヘリコプターの描写
・「ブレードランナー2049」における、ひたすらに巨大な女性の映像と人間との対比
……こんな監督が、「砂の惑星」を映画化したというのだ。期待しないほうが無理。さぞや好き放題の画面をつくっているだろうと思ったら、予想以上でした(笑)。
砂に覆われた星アラキス。しかし宇宙飛行に必須の物質である「スパイス」を産することで争いの中心となる。先住の民と共存しようとする新任のアトレイデス家だったが、前任のハルコンネン家や皇帝の策謀により、壊滅させられる。生き残ったアトレイデス家のポールが追いつめられていく過程がこのPART1。
砂の中を猛スピードで進むサンドワーム(砂虫)、浮遊するハルコンネンの当主、宮崎アニメから飛び出たかのような飛行機(下降するときは翼をたたんで滑空する)、そして身体を衝撃から守るシールド……
実はものすごいオールスターキャストです。ついこの間「レミニセンス」で美女ぶりを見せつけたレベッカ・ファーガソンが主人公の母親役(母子相姦的なシーンもある)で、「スパイダーマン」のMJ役のゼンデイヤが謎の少女、顔をあまり見せないけど帝国の黒幕がなんとシャーロット・ランプリング!ドゥニ・ヴィルヌーヴは女優の趣味がいいからなあ。
対して男の方は「牯嶺街少年殺人事件」のチャン・チェン、「アクアマン」のジェイソン・モモア、ジョシュ・ブローリン、デイヴ・バウティスタ、ハビエル・バルデムとキレッキレ。満足して映画館を出たら庄内空港開港30周年とかで上空をブルーインパルスが。これもドゥニ・ヴィルヌーヴのお導きでしょうか。
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