事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「空母いぶき」IBUKI192 (2019 キノフィルムズ)

2021-05-24 | 邦画

東アジアがきな臭い。

北朝鮮の傍若無人ぶりはあいかわらずだし、習近平体制になって中国の覇権主義は露骨だ。台湾は半導体景気もあって“おいしい存在”になり、韓国の文政権はダッチロール化。

そして日本。人のいいことに米一辺倒の外交が仇となり、トランプが壊したアメリカと軌を一にするようにプレゼンスが低下。ロシアはプーチンのパワーに陰りが見え、だからこそ一発大逆転を狙っているようで……

「空母いぶき」は、まさしくこんな状況だからこそ面白く見ることができる。

東シナ海に浮かぶ東亜連邦という架空の国。国際法を気にもとめないならず者国家。とくればモデルは半島の国と巨大なあの国だろうか。その東亜連邦は漁船に擬した船団で日本との国境にあるとされる初島へ上陸。海上保安庁は船団に銃撃され……

自衛隊にどこまでの行動が許されるのか、ギリギリの線上での相克。

国民の生命を守るために反撃をためらわないとする空母いぶきの艦長(西島秀俊)と、日本は絶対に戦争を行わないという原則を離れるべきではないと主張する副長(佐々木蔵之介)。彼らの対立を、孤独をおそれない空自のパイロットあがりと、根っからの海自魂の男の対立に象徴させた脚本が周到。さすが平成ガメラやパトレイバーを書いた伊藤和典

敵を100%打ち倒すことをめざしては外交は立ち行かないとするあたり、うまい。威勢のいいだけの安倍晋三やトランプの政権下でこんな事態にならなくて本当によかった。

日本の役者は兵隊と娼婦をやらせたらうまいというのが定説。しかしこの映画は少し役者たちのオーバーアクトが目立ったのが惜しい。常に薄ら笑いを浮かべる西島秀俊の演技は、コンセプトとしてよく理解できるのだが。

ミサイルに向けてデコイ(空中発射型のおとり)が光り輝いて飛ぶあたりの描写を見ると、ああ日本映画も進化したなあとしみじみ。


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2 コメント

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見事な政府の姿勢 (平成エンタメ研究所)
2021-05-25 06:58:28
いつも楽しく拝読しています。

「今後の外交交渉に影響する戦闘は極力回避せよ」
「戦闘から戦争に発展する行動は避けよ」
この政府の姿勢は見事でしたね。

全面戦争だ、などと勇ましいことを言う輩ほど、いかがわしいものはありません。
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天下国家を…… (hori)
2021-05-25 22:05:14
憂えているように見えて、そういう人
って自分のことしか考えてないですもんね。
返信する

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