語って語り捨て、聞いて聞き捨て……三島屋シリーズ最新刊。百物語の聞き手がおちかから三島屋の次男坊の富次郎に代わっていて、そのおちかが幸福であるらしいことがうれしい。
三篇所収。いずれもみごとなお話だが、冒頭の「火焔太鼓」がすばらしい。語り手は小藩の武士。江戸詰めとなったので三島屋を訪れ、不思議な太鼓の話を始める。その太鼓のおかげで、その藩ではめったに火事は起こらず、起こっても小火ですんでいる。
一種の化けもののお話だが、その化けものの真実が泣かせる。高名な落語のタイトルをいただきながらここまでの展開にもってくるとは。
宮部みゆきの才能の容器として、このシリーズは格好のものとなっている。同じ年生まれとして、ずっと読み続けていくことをここに誓います。
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