佐藤健主演バージョン。わたしの世代には1980年の堺正章版が有名で、ドラマの評価も高かったけれど(なにしろ明石家さんまの出世作なのだ)、わたしは一度もみていない。それはどうしてかというと……
・学生時代なのでフルに観ることは可能だったけれど、まだ山形県にはTBSがネットしていない時代だったので、帰省したらアウトだし。
・真裏の大河ドラマが「獅子の時代」で、相手が悪かった。
・サヨク少年だったので、天皇がらみのネタを敬遠した。
という感じだろうか。にしてもTBSもあざといことをしたものだと思う。
日曜8時といえば、日本テレビでその1年前まで堺正章が主演の「西遊記」がオンエアされていたのであり、同じ時間帯の日テレの名物は、メインライターの鎌田敏夫さんによる「俺たち」シリーズの枠だったのである。その両方を起用して勝負をかけたわけ。
さてそれでは2015年の佐藤健バージョンはどうだったか。
「JIN-仁-」で大成功をおさめ、朝ドラの「ごちそうさん」で冴えを見せた森下佳子さんを脚本に起用し、小林薫、黒木華、桐谷健太、杉本哲太、美保純、わたしの大好きな麻生祐未などのいい感じのキャスティングを用意した。
しかし主演に佐藤健をもってきたのは冒険だったろう。「るろうに剣心」や「龍馬伝」における岡田以蔵役の好演があったとしても。
しかしこのギャンブルは大成功に終わる。佐藤健の入魂の演技にはほとほとまいった。調理シーンもすべて吹替なしで演ずるなど、努力の結果であることは確かだが、実はとんでもない放蕩者だった主演にぴったり。
婿入り先をしくじり、自分を拾ってくれた師匠の奥さんとあんなことになっちゃうし(まあ、相手が高岡早紀なので仕方がない)……。
その対極にあるのが兄役の鈴木亮平。この役のためにどれだけ身体をしぼったのだろう。にしても「JIN」につづいて、またしても森下作品には毎回泣かされたのでした。簡単な客?
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