第13話「笑うカンガルー」はこちら。
スペシャルで20%近い数字をとり、セカンド・シーズンにはずみがついたこともあっただろう。しかしそれ以上に1回目の犯人に明石家さんま(これだけセリフの多いドラマなのに現場に来るまでセリフをおぼえてこないので有名)をもってきた大ばくちは成功し、この回は25.4%というとんでもない視聴率をゲットしている。フジと共同テレビの“本気”が視聴者に伝わったのだろうか。
さんまが演じるのは、婚約が決まったために昔からの恋人である秋本奈緒美を殺害する小清水弁護士。ドライザーの「アメリカの悲劇」(映画化されて「陽の当たる場所」)パターン。
小清水が犯人に違いないとふんだ古畑が、矢継ぎ早にくりだす罠の連続が見ものだ。
・被害者宅へのルートを指示せず、
・部屋番号も教えず、
・「(秋本の職業である)スタイリストってもうかるんですかね?」とかまをかけ、
・エアコンのスイッチを選択させ(「ウチのとおんなじビーバーエアコンなの!」)
……古畑はなんとかして小清水と被害者が関係があることを証明しようとする。ねずみをなぶる猫のような田村正和の邪悪な表情がすばらしい。
とどめに、猫アレルギーである小清水に猫(名前はオシャマンベ。三谷が実際に飼っている猫の名)を抱かせ、クシャミをする彼に「おだいじに」と声をかける。
実はこれ、「サブウェイパニック」のマーティン・バルサムとウォルター・マッソーのからみをいただいています。
法廷のシーンは三谷幸喜も書いていてうれしがっているのがわかる。「12人の優しい日本人」が出世作である三谷にとって、法廷はフランチャイズそのものだ。
今泉に罪をなすりつけて罪から逃れようとする小清水を証人席から糾弾する古畑は、史上もっともうれしそうな弁護側の証人だろう。
「人に殺されるようなことがあっても、殺すような男じゃないんですけどねえ」
今泉慎太郎という男を、古畑は完璧に把握している。
第15話「笑わない女」につづく。
「オシャマンベ」は今泉が自宅で飼っている猫だったと記憶しています。
記憶違いだったらすみません。
もう全然おぼえてないや。
ご指摘ありがとうございます。
今度は、離婚した脚本家の作品として観ることに
なるわけですね。意外だったなーあの離婚は。