その1はこちら。
「さればでござる」
この大河は“ナビゲーター”の近松門左衛門のこのセリフが名物となった。ドラマの背景などを彼が解説するという設定。演じていたのは江守徹。名調子でした。
さて、肝心の吉宗を演じたのは緒形拳と並んでミスター大河と言える西田敏行。主演四本(「山河燃ゆ」「翔ぶが如く」そして2000年の「葵三代」)を含む13本。すごい。
老いてはいるけれども女性関係はお盛んな父親に大滝秀治、生母は山田邦子。五代将軍綱吉に津川雅彦、六代家宣は細川俊之、吉宗の跡を継いだ九代目家重を中村梅雀があぶなく演じて人気が出た。
大岡忠相がこれまた大河ドラマの常連である滝田栄、室鳩巣に橋爪功、荻生徂徠が津嘉山正種、新井白石は佐藤慶。柳沢吉保は榎木孝明、水戸光圀が長門裕之。そして天一坊は京本政樹でした。
女優陣は藤間紫、草笛光子、藤村志保、八千草薫、名取裕子、斉藤由貴、賀来千香子、細川ふみえ、黒木瞳と豪華なことだ。
しかしこのドラマのキモは、享保の改革を断行し、節約につとめた吉宗と、逆に贅沢を奨励した尾張候徳川宗春の対立にあった。あ、「紀州」の継友の弟です。
この人のことは清水義範の「尾張春風伝」で読んでいて、とても魅力的に描いてあった。人間の欲望を肯定し、湯水のように金を使って市場を活性化させる。
もちろん、歴史は彼を断罪していて、膨大な借金をつくった暗愚なトップという見方もある。演じたのは中井貴一。財政規律派と規制緩和派の争いとも読める。壮大なホームドラマ、だけではなかったわけだ。
視聴率は久しぶりに跳ね上がった。徳川幕府にとっての吉宗のように、大河ドラマにおいても中興の祖といえる作品だった。
PART43「秀吉」につづく。
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