その16「念波る(おくる)」はこちら。
タイトルからして堂々たる密室殺人……ではなくて、被害者の遺体は外にあり、特定の時間帯に密室が構成されているので自殺と判断されたというケース。
舞台は山梨県の山中。山歩きのイベントに参加した岸谷刑事。ペンションに泊まる女性たちに
「ご職業は?」
「公務員です……………………警察関係」
こういうためらいを全国の関係者は経験しているのかも。
参加者のひとりが渓流で見つかる。吊り橋から落下したものと思われた。自殺と判断されたが、岸谷だけは殺人を疑う。被害者の同僚である女性が小さな嘘をついていたからだ。
「野木さん(夏川結衣)は湯船につかったって言ってたんです。でもわたしが次に入ったら、肌に気泡が」
文系である岸谷が、たまたま過飽和現象(一番風呂に入った人しか発生しない)を知っていたために湯川が登場。密室を構成する、というよりも“密室だとどう思わせたか”がキーポイントとなる。ただし、あるトリックを使ったのはいいにしても、その痕跡をうまく消せたのかは微妙。
大企業の研究者として白衣を着た夏川結衣が魅力的。「結婚できない男」の女医役を想起させます。今回は努力型の女(夏川結衣)VS天才肌の女(被害者)VS美人じゃない女(岸谷)の相克。途中から邪悪な表情を隠さない夏川結衣は、あの「点と線」のラストで
「すみました」
と淡々と語るシーンも思い起こさせる。ただ、わたしは被害者役の遊井亮子のクールビューティな感じも捨てがたいんだけどなあ。
どんなタイアップだったかわからないけど、ミノッティのショールームにおいて、たいそうお高いテーブルに数式を書きだす湯川がおかしい。
その18「偽装う(よそおう)」につづく。
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