遠い極東の島国から眺めていると、イギリス人たちは近ごろどうかしてしまったのかと思う。例の、ブレグジット(EU離脱)の件だ。
経済がどうの移民がどうのとか不満たらたらなのはわかるにしろ、あの組織の究極の目的が、血塗られたヨーロッパの戦争の歴史に終止符を打つためなのは、極東だからわかることなのだろうか。岡目八目で。
そして、国民投票で離脱に賛成票を投じた人たちが、労働者階級の頑固な白人たちであることは簡単に予想できる。アメリカの赤首たちがトランプを支持するのに似て。
でも、EU残留派であるブレイディみかこは、しかし離脱派のおっさんたちにも仕方のない面もあったと説明してくれる。
この本に出てくるおっさんたちの愛すべき行状や発言(よく70年代や80年代のロックミュージシャンが引き合いに出されるので、ニッポンのおっさんであるわたしにもわかりやすい)を味わえば、結局悪いのは緊縮財政だし、バカなのは国民投票をやろうとしたあいつだろという気になる。イギリスの機能していない医療制度を、離脱することで解決できるとデマをとばした頭のいい連中が離脱派にはいたわけだし。
しかし、ブレイディみかこに代表されるリベラルの弱さは、そのものわかりの良さにあるんだと思う。保守派ガチガチの連中は、なかなか
「リベラルにも都合ってものがあるよなあ」
なんて忖度してくれないもの。その意味で、彼らは強い。
そんなイラッとくる状況で、しかし「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」のあの少年が、実にいいところでいい感じの発言をかましてくれるのがうれしい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます