事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

勝手に人生相談Vol.23 年上の女

2019-01-16 | うんちく・小ネタ

雨(三善 英史)

Vol.22「同窓会の夜」はこちら

60代パート女性。30代の三男のことを相談します。

三男は大学卒業後、私たちが暮らす実家に戻り、今は在宅でパソコンを使った仕事をしています。

2年ほど前、スポーツジムで年上の女性と知り合いました。彼女は長男と同級生で、離婚して子連れで実家に帰っていると長男から聞きました。

今年の夏に、三男が彼女と旅行に行くことがわかりました。不安と不満を感じた私は「話がある」とだけ三男に言いました。しかし、夫から「やめておけ」と言われ、その後彼女の件には触れていません。

離婚歴だけなら悩まないのですが、彼女に子どもがいることを受け入れられそうにありません。私たち夫婦は5人の子どもを財産をつぶして育てました。他人の子のためにお金を使うのかと思うと、怒りがこみ上げます。

今も週1回は会っているようです。どうすればいいでしょうか。(滋賀・D子)

……久しぶりに骨のある相談。

「他人の子のためにお金を使うのかと思うと、怒りがこみ上げ」るほどの嫌悪感。すごい。わたしよりもちょっと上であるだけの世代で、ここまでの昭和感(ないですこんな言葉は)をお持ちとは。

しかし平成もまもなく終わろうという時節に、この発想はいかにも時代遅れでしょう。男性の未婚率が25%に及ぼうかというときに。いいですか、男性の4人に1人は生涯一度も結婚しない時代なんですよ。

どうもここでは語られない事情があるような、在宅で働く三男の結婚にあなたが反対したとしましょう。彼は、確実にあなたが望むような形での結婚は絶対に将来にわたってしないと断言できます。彼にだって意地はある。

わたしは思います。かろうじて間に合ったなと。あなたの狭量さ(ですよ、マジで)による破綻だけは避けられた。いや、昭和感(だからこんな言葉はないけれども)丸出しのあなたが、三男に何も言わずに結婚を祝福することなどできそうもないか。

本日の1曲はなんと三善英史の「雨」

三連休に頭から離れなかったんですよ。「約束した時間だけが身体をすりぬける」おお、すごい詞だよな。でもこの女性はどんな理由で誰を待っていたのか。

それ以上に不思議なのが通行人が小突いていくという状況。都会は怖いとこばーい。あと、この人には「円山・花街・母の町」ってのもあるけど、中学時代だったんで深い意味まではさっぱりでした。渋谷は怖いとこばーい。数年後にウォークマンなるものを装着して歩くとは…

Vol.24「かまってちゃん」につづく

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「ロック・オブ・エイジズ」Rock of Ages(2012 WB)

2019-01-15 | 洋画

ブロードウェイでヒットしたミュージカルの映画化。と言っても、トム・クルーズが出ていなければまず見ようとは思わなかったのが正直なところ。脇にまわると、トムは変な演技をうれしそうにやるんだよなあ。ポール・トーマス・アンダーソンの「マグノリア」の、あの変な教祖とか。

今回は自分でも歌うことに喜びを見出せなくなっているスターの役。徹底したトレーニングによってみごとにシャウトしてくれます。「アリー/スター誕生」のブラッドリー・クーパーもたいしたものだったけど、スターもたいへんですね。

ストーリーは恥ずかしくなるくらいのボーイ・ミーツ・ガールもの。あざといすれ違い、臆面もないハッピーエンド。でも描写はけっこうエグくて、ひょっとしてR指定だったんじゃないか。

さて、この作品の主役はしかし音楽だ。ラインナップを見て「これ、おれの映画じゃん」と思う人はきっとわたしと同世代だ。

・フォリナーの「ジュークボックスヒーロー」「アイ・ワナ・ノウ」「ガール・ライク・ユー」

・ジョーン・ジェット&ブラックハーツの「アイ・ラブ・ロックンロール」

・スターシップの「シスコはロックシティ」

・パット・ベネターの「強気で愛して」

・REOスピードワゴンの「涙のフィーリング」

・ジャーニーの「ドント・ストップ・ビリーヴィン」「お気に召すまま」

・クォーターフラッシュの「ミスティ・ハート」

他にもデフ・レパード、ガンズン、ホワイトスネイク、ポイズン、トゥイステッド・シスター……わははは。なんかもう笑うしかない。しかし、この選曲は“ロック”かなあ。

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「ハロルドとモード 少年は虹を渡る」Harold and Maude(1971 パラマウント)

2019-01-14 | 洋画

19才の大人になりきれない少年と、79才の老婆の恋愛。外枠だけみれば不道徳(だろうか)なお話。

でも、公開された1972年に、山形県酒田市では「許可映画」(おそらくは生徒指導連絡協議会的な存在が、興行主の要請をうけて生徒が観ていい映画を選別していたのだ)として割引券まで中学生に配布していた。まあ、二本立ての添え物だったはずだけど。

素直なわたしは当然のように映画館に向かった。近ごろドキュメンタリー映画が全国公開されて話題の酒田グリーンハウスという日本一の映画館へ。酒田大火で燃えてしまったあの映画館で、いまやカルトな人気を誇る名画を鑑賞。思えばすばらしい体験。

でも、やはり中学生にはこの映画の肝心な部分が理解できなかった。今でも思い出すのは、狂言自殺を繰り返すハロルドが老婆と結婚すると聞いたカウンセラーが

「きみの……健康な若い身体と……老婆の臀部が結合することを思うと……」

的な説教をされるシーンしか印象に残っていない。だいだい、臀部(でんぶ)って何?そこからわかっちゃいなかったんだから(笑)。

長らくビデオ化もされていなかったけれど評判が評判をよんで再公開。DVDも出た。四十数年ぶりに再見。

おっと、ハロルドとモードが本当にセックスしてたんだ。これは意表を突かれました。ハロルドを演じたのはバッド・コート。およそ19才には見えないくらいの童顔。確かに“少年”だ。

モードはルース・ゴードン。刑事コロンボの「死者のメッセージ」で、アガサ・クリスティをモデルにしたアビゲイル・ミッチェルを演じたあのおばあちゃん。撮影されたときはほぼ役柄といっしょの年齢。

肝心な部分とは、生きることに絶望していたハロルドと、若いころにある経験をしていたモードが愛し合うことで、生の意義が世代をこえて受け継がれるという部分にある。確かに、少年は虹を渡るのである。

脚本を書いたのはコリン・ヒギンス、監督はハル・アシュビー。ルース・ゴードンはもちろん、みんな亡くなっている。あ、バッド・コートは健在です。もう少年じゃないけど。

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うまい店ピンポイント2019年冬 鳳花園 冬のラーメン

2019-01-14 | 食・レシピ

鈴木屋篇はこちら

確かおととしもそうだったと思う。勤労者福祉センターで飲んで、テクテクテクテク歩いて帰る。

「絶対に歩いて帰っちゃダメよ」

と妻に厳命されているにも関わらず。

すると必然的に翌日にクルマをとりに来なければならない。そして目の前には鳳花園がある。当然、そこで妻(今回は娘も)にご馳走することになる。

代行の料金の方が安かったんじゃ……

季節のラーメンがここの名物。まさか長芋が入るとはなあ。

函太郎篇につづく

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いだてん 第2回 坊っちゃん

2019-01-13 | 大河ドラマ

第1話「夜明け前」はこちら

前回の視聴率は15.5%、そんなものなのか。宮藤官九郎ファンとしてはおおいに不満。でも宮藤官九郎ファンだから低視聴率にはなれてるけどね(笑)。

午後6時からのBSのオンエアに備え、身辺を整理し(乱れてるから)、居住まいを正す(正しくないから)。見終わって、ふう、と息をつく。今回も面白かったなあ。というか前回は壮絶な予告篇だったけれど、今回からコクのある話になって……実は泣いてしまいましたとさ。

熊本のお話。熊本大学の出身で、わたしの世代にはミノルタのセクシーCMでもってかれた宮崎美子がお母さん役で登場。そしておそらく今回だけだろうけど、当時熊本大学にいた夏目漱石を登場させるにいたっては「吾輩は主婦である」を書いた宮藤の本領発揮。

金栗四三の少年期を演じたのがど素人だったのは完全に正解。すごい。そして、彼の視線があるからこそ父親である田口トモロヲの嘘が泣ける。

前回が「夜明け前」で今回が「坊っちゃん」なので、これは毎週明治日本文学名作選のようなタイトルになんのかな。それはきついと思う。「蒲団」でどんなドラマを。

落語が思いのほか大きな柱になっている。うれしい。落語をテーマにしたドラマに外れはない。なにより、「タイガー&ドラゴン」が前例としてあるわけだし。「三枚起請」から始まるあのドラマを大河ドラマで実現するわけだ。

今回は「付け馬」。志ん生をたけしが演じていることに批判する人が多いようだ。なめてんじゃねーぞと思う。じゃあ誰が他にやれるってんだよ。

思わずけんか腰になってしまいましたが、それは今日DVDで「アウトレイジ 最終章」を見たということでご勘弁を。本日の視聴率は(やりますよ性懲りもなく)16%台に上昇と予想。文句あっか。あ、まだやくざ口調が。とりあえずわたしは綾瀬はるかが登場したのであとはなんにもいりません。

第3回「冒険世界」につづく

コメント (2)
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日本の警察その99 MOZU (TBS=WOWOW)

2019-01-12 | 日本の警察

その98「冲方丁のこち留」はこちら

初めて逢坂剛の「百舌の叫ぶ夜」を読んだときは驚愕した。こんなに面白い小説があるのかと。

上梓された当時は「このミステリーがすごい!」はまだなかったので……あ、週刊文春のベストはあったはずだな。調べてみたら山崎洋子の「花園の迷宮」につづいて2位になっている。当時の文春ベストは江戸川乱歩賞受賞作がいつも強かったので(それに反発したのが宝島社のこのミスだったわけ)、事実上のベストだな。

一種の叙述トリックも仕込まれていて、殺し屋である百舌の視点でストーリーを追っていくとひっかけられることになります(トイレのシーンとか)。百舌も、彼を追う倉木も、得体の知れない感じがあって、しかも公安警察官が主人公というのも新しかった。

その後、「幻の翼」「よみがえる百舌」など、続篇が数多く書かれたわけだが、なんでまた2014年にTBSとWOWOWがドラマ化し、あろうことか劇場版まで製作されたかの事情はさっぱり。このご時世に盛大に登場人物たちがタバコを吸いまくるのは、見ていていっそ爽快でしたが。

わたしはこのシリーズのファンだからすべて読んでいるわけだけど、倉木に西島秀俊、美希に真木よう子というコンビは正解だと思った。西島秀俊は最初から最後まで苦虫をかみつぶしたような表情だし、真木よう子も屈託ありあり。これ、原作どおりですから(笑)。しかし大杉警部補役に香川照之というのは、彼のうまさはありながら大丈夫なのかと思った。だって彼はのちに……

連続ドラマを毎週見るということができない人なので、いざDVDで見始めると歯止めがきかない。シーズン1もシーズン2も劇場版もスピンオフも一気に。まとめて見たんだからストーリーもよく把握できて……グラークα作戦?ダルマ?なんのことだっけ。ああおれはミステリ読みとしてもドラマ視聴者としても失格だ(泣)。

でもわたしはこのドラマを、百舌を“あの人”が演じているというだけで満足した。あの役柄を演じられるのは、確かにあの人しかいない。

その100「刑事の怒り」につづく

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「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」ピーター・トライアス著 早川書房

2019-01-10 | 本と雑誌

もしも第二次世界大戦において枢軸国側が勝利していたら……という歴史改変SF。この種の作品は土台の歴史認識がよほどしっかりしていないと成立しないが、このUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパンじゃないよUnited States of Japanだよ)はこう説明している。

枢軸国側が勝ったのは、ソ連に侵攻したナチス・ドイツの要請に日本が呼応し、ノモンハンの反省をもとに、ソ連東方軍を満蒙にはり付けさせるために日本軍はそこから一歩も動かなかった。ためにナチスのモスクワ占領は成功し、日独でソ連を分割……

逆に、現実は「USA」という禁断のゲームのなかで語られる。ドイツの要請を無視し、日本は仏印に侵攻。ために米英の反発をかって開戦時期が大幅に早まり……

つまり、日本軍が仏印に向かうか満蒙を固守するかが歴史の分かれ目で、あとはバタフライエフェクトによって大幅に歴史は変わってしまったとしている。とても、納得できる話です。

戦争に勝った日本はアメリカ西海岸を統治する。全体主義国家が勝ったわけだから、天皇絶対の恐怖政治が敷かれている。皇国に刃向かう者はテロリストとして排除され、キリストの教義は完全に否定されている。しかし医学や科学の発達は著しく、巨大なロボットが切り札として戦闘に参加するようになっている。

主人公の男女がなんともいい。特高で天皇の無謬を信じて疑わない槻野(つきの)昭子と、凡庸で出世コースからはずれ、女のことしか考えていない(ように見える)石村紅効(べにこ=ベン)大尉のコンビが、ある目的をもって突き進む。

作者ピーター・トライアスはアジア系アメリカ人。日本文化に耽溺し、深作欣二北野武、そして宮崎駿押井守を敬愛し、大江健三郎三島由紀夫を読みこむあたりの日本愛が爆発。しかし日本合衆国のありようが、北のどこかに似通っているからか、ネトウヨたちからはボロクソに言われております(笑)。

日本の現在を客体化するという意味でこのSFは最高のテキストだったかもしれない。「機動警察パトレイバー」や「パシフィック・リム」の世界に草薙素子が登場すると考えれば、急に読みたくなる人もいるのではないでしょうか。わたしは最高に楽しめました。ラストはちょいと泣ける。

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収入印紙。

2019-01-09 | 社会・経済

業者がお金を受け取りに来て、印紙をとりだす。

「知ってます?近ごろ収入印紙がリニューアルされたの」

え。急いで検索。

そうなのか、7月から新しくなってたんだ。

「ほら、おれらはシートで印紙を見るからすぐ違いがわかるじゃないですか。びっくりしましたよ」

偽造が相次ぐものだからついにそういうことになったらしい。

「ホログラムが入ってます」

それ以上にいろんな裏技が仕込んであるみたい。特殊なシートをかぶせると偽物がすぐわかるとか。

いまわたしたちが平気で使っている紙幣のときもそうだった。

あれをなんも知らない人は

「この子ども紙幣はなに?」

と思ったろう。

印紙の存在はわたしたち学校事務職員にとってはあまり意識しないですむけれど(200円のしか商売上はあまり縁がないしね)偽造するメリットが十分にある存在だってことだ。なんかもういろんな妄想が。

 

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「座頭市と用心棒」(1970 大映)

2019-01-08 | 邦画

座頭市シリーズに、なんと黒澤明「用心棒」「椿三十郎」でおなじみの三船敏郎が登場。

このふたりはプロダクション経営でお互いに苦労しているので仲はいいはず。おまけに監督が岡本喜八という豪華版。

喜八組である岸田森草野大悟寺田農もそろえてマジで豪華なことだ。おまけにヒロインが若尾文子

それに滝沢修、細川俊之、常田富士男、米倉斉加年、神山繁、そして嵐寛寿郎が加わるのだ。

座頭市通算20作目という節目だから実現したのだろうし、直後に倒産する大映の、黄昏の最後の煌めきだったかも。

製作は勝プロ。でも意外なほど岡本色が強い。こうなるともうひとりの喜八組の仲代達矢が出てきてほしかった気も。あ、それだとあまりにクロサワな映画になっちゃうか。

徹底して西部劇を意識したつくりでうれしくなる。だいたい、勝新太郎と三船敏郎が同じ画面にいるということだけでありがたい。ストーリー的には言いたいこともあるけれど、こんな贅沢なスター映画はもうありえないわけなので満足。ありがたいありがたい。

撮影は宮川一夫、美術は西岡善信、音楽は伊福部昭。なんと贅沢な!

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うまい店ピンポイント2019年冬 鈴木屋

2019-01-07 | 食・レシピ

華煌篇はこちら

ということで今年も映画を観たらラーメン。久しぶりに三川イオンシネマに行って「アリー/スター誕生」を観て、レディー・ガガのお宝を拝見してテンションが高まり、おーし大山まで行くぞと。

店員さん(美人)が

「ラーメンしか今日は出せませんが」

そうかこの店はお蕎麦とか卵焼きが名物でもあったんだよね。このご時世に灰皿まで用意されている昭和っぽさ。大好き。駐車場もちょうど空いたところ。ラッキーでした。この日は“うちに帰るわけにはいかない”理由があったので(何も訊くな)、そのまま遊佐の図書館、駅前のレンタルビデオ屋とか、通算したら新庄往復ぐらいを走ってました。いいんだいいんだ。

鳳花園篇につづく

 

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