保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

了以ゆかりの山寺・常寂光寺をゆく。

2006-11-27 20:51:09 | シリーズ・京都を歩く
京都屈指の紅葉の名所として名高い、嵯峨野・常寂光寺。

小倉山を背に清らかな静寂と佇まいの中にひっそりと建つこの山寺は
永遠・絶対の浄土である常寂光土に遊ぶような風情があるところから
「常寂光寺」と名付けられたと云われています。

慶長元年(1596年)日蓮宗大本山・本圀寺16世の日禎上人が隠棲した庵を
寺に改めたこの常寂光寺は、『古今和歌集』の編者としても知られる
藤原定家が山荘「時雨亭」を置き、『小倉百人一首』を編集した
所とも云われており、定家の木像を祀る謌僊祠(かせんし)や
時雨亭趾碑が建てられています。

日禎上人は時の権力者・豊臣秀吉の出仕令に従わなかったことから、
本圀寺を追われこの地に隠棲したもので、その時に土地を寄進したのが
保津川下りの生みの親・角倉了以翁なのです。

その恩返しか上人は、慶長11年(1606)の保津川開削工事の際、
備前伊部から瀬戸内水軍の旗頭・来住一族の船団を招き、開削事業の
支援をし、保津川下りの船頭の誕生に大きくかかわっています。

私達・保津川下りとも非常に関係の深い常寂光寺。

今の季節が一番賑わいをみせます。

本圀寺客殿の南門を移築したといわれる南北朝時代築の茅葺きの仁王門を
くぐると、もみじの赤が眩しいくらいに目に飛び込んできます!
もみじのトンネルような急な石段を登って本堂へと向かう道までもが、
そのもみじの赤さで空間ごと赤く感じられるのには本当に驚嘆の一語です!
さすがは京都紅葉ランキングで度々1位にあげられる
京都屈指の人気紅葉スポットです。
もみじの赤さの濃淡度が深く、嵐山で見るどの赤さにも
ない美しさなのです。


伏見城の客殿を移築した本堂の背後にある檜皮葺きの多宝塔。
この塔は元和6年(1620)に辻藤某など京都町衆らが
寄進して建立したもので、高さ12mで並尊閣とよばれ前面には
霊元天皇の勅額を掲げ、3間2層の檜皮葺き造りは
重要文化財にも指定されています。
この塔にかかる紅葉は、その緑の背景ともみじの赤色、黄色の
グラデーションが見事な鮮やかさで、その対比がまた
眩しく映えて、深い趣を醸し出しています。

小倉山の急斜面を上りきった展望台からは嵯峨野も一望でき、
山間にある奥嵯峨の風雅に楽しむことができます。

常寂光寺の紅葉の見頃は今週とのこと。

保津川下りとも縁深い寺である常寂光寺の
京都屈指といわれるもみじの美しさに心から
癒されてみてはいかがでしょうか。

☆常寂光寺 

場所 京都市右京区嵯峨小倉山小倉町3
交通 京福電鉄「嵐山」下車 徒歩約25分
   阪急嵐山線「嵐山」下車 徒歩約35分
   JR京都駅から京都バス、市バス28
   四条河原町、京阪三条から市バス11
   各バスで、「嵯峨小学校前」下車 徒歩約15分
  嵯峨野観光列車トロッコ嵐山駅下車 徒歩3分
拝観時間 9時~17時
駐車 有
連絡 075-861-043

大晦日/除夜鐘打公開