散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

道央縦断(3)

2008年10月11日 21時24分16秒 | 飲み歩き・北海道内
そして最後は、野幌の沖縄料理店「I」へ。札幌市内で今ほど沖縄料理店ができるより前からやっている店だ。私が一度だけ行ったのも、もう5年くらい前だろうか。



さて今日の一番目の客となり、メニューを見る。沖縄料理はもちろんだが、それ以外の居酒屋メニューもちゃんとしたものがあるのだ。まずホッキと松川鰈の刺身にしよう。





松川には縁側がついており、さっぱりな中にもコクのある味。ホッキはやっぱり貝の王者という感じだ。

泡盛を飲みつつパパイヤチャンプルー、ラフテーと沖縄料理へ転じる。パパイヤはジャガイモ千切りのような歯ごたえで、少々青っぽい香りがする。かつお節が大量に入っているようで、和風のしっかりした味だ。

それからラフテー。これが前回来た時に大変美味しく、今回もう一度来てみようと思った原動力なのである。写真がボケてしまい掲載できないが、皿に大きな直方体が鎮座する姿が美しい。本場では当たり前なのかもしれないが、ラフテーには豚の皮の部分がついている。この部分の味わいが凡百の豚の角煮との違いになるのである。あまりの美味さに即完食。

次に豆腐よう、チキナー(からし菜の炒め物)をつまみにしばらく泡盛を飲む。やっぱり豆腐ようの発酵した味は泡盛に合う。沖縄の豚メニューが足・耳・顔と豊富な中、トンタン塩焼きというのを注文。砂肝にもにた歯ざわりのところを塩コショウでさっと食べる。



そして最後はやはり沖縄そばだ。出汁が良いのだろう。良い香のするツユに途中からコーレグースを投入。ちょっと多く入れすぎたため辛くなりすぎてしまったが、じわじわしみてくる味わいを堪能。



いやー、文句なしに美味かった。さてこれで野幌から琴似に移動し、バー「D」へ。一杯目は「味わいのある強いロングを」とマスターに無茶振り。カナディアンクラブ+ペルノー+水のカクテル。確かに水割りというのはロングカクテルだよな。ペルノーが効いており、味わいがあるというのも十分クリアしている。

2杯目は最近お気に入りのイチローズモルトから、イチロー7オブクラブス。度数59度とあって、華やかなパンチの効いた味。しかしかすかな酸味と渋みもあり、熟成年数から想像するより複雑な味わいがする。



最後に以前飲めなかったフランスのジ・ヴァイン・ジンを飲んで終了。葡萄由来の香りがするジンであった。

展覧会を見る時間が少なくて慌しい一日だったが、今日は楽しかった。大人は特急に乗ってもっと時間を有効に使うべきかもしれないが、一日散歩きっぷの良さは手放せない。電車に乗っている最中は懸案事項だった本(1200ページもあり苦戦していた)を読み終えたし、有意義だった。

道央縦断(2)

2008年10月11日 15時21分51秒 | ART
苫小牧を出発し、南千歳でエアポートに乗り換えて札幌に向う。実はこれに乗り換えないと時間内に目的地に到着できなくなってしまうのだ。途中白石で乗り換えできるのだが、昼食の関係もあり札幌へ。

しかし札幌駅の乗り換え時間も15分しかない。非常に珍しく駅ホームで立ち食い蕎麦。野菜と蝦が1匹入った天ぷら蕎麦は、これはこれで悪くない(ちょっと写真がボケた)。



さて電車に乗り込んで目的地は滝川だ。途中ちょっとした豪雨に襲われるが、滝川では小雨になっていた。さて、滝川市美術自然史館も駅から徒歩20分はかかるぞ。



ということで北門信用金庫コレクションによる「北海道美術の潮流展」が第二の目的地だ。入口で結構立派なカラー図版の小冊子をもらい展示会場へ。この展覧会が無料というのが偉いよなあ。

三岸好太郎「ポプラのある風景」:三岸美術館の作品はほとんど見ている気がするので、こういうのは嬉しい。
田辺三重松「雄阿寒岳」:彼の特徴でもある緑がよく効いている。
木田金次郎「リンゴ園」:ダイナミックな筆運びがよくわかる。普段、近美で見る作品に比べ、こちらの方が状態がいいと思う。

中村善策「水辺(余市)」:善作の作品も新しいものを見ることができて嬉しい。小品ながら、良いねえ。
本城義雄「流氷」:最近の古道具をリアルに描いたシリーズではなく、国松登ばりの青い流氷。珍しい。
佐藤忠良「帽子・裸婦」:カッコいい裸婦だ。センスあるなあ忠良。

佐藤忠良「シャツ・ブラウス」:これは男子の憧れ「全裸にシャツ」ではないか。ギザギザのシャツの質感が良い感じだ。何となく私は「佐藤忠良=遊び人」説を心に思っているのは、この辺の作品が理由だったりする。
秋山沙走武:これが札幌の北門信金にもあるという例の乾漆像か。
舟越保武「道東の四季・春」:舟越保武はあまり見た記憶がない。近代的な感じの女性像だ。

この他にも滝川市ゆかりの画家の作品が出品されていた。小品が中心だったが全体に作品の保存状態が非常に良いのではないだろうか。やるなあ北門信金。またぜひコレクションを展示してほしいものだ。

時間がなくその他の展示を見ることなく滝川駅へ戻る。雨上がりで鮮やかな虹が見える。写真では分かりにくいが二重の虹だ。


道央縦断(1)

2008年10月11日 11時13分29秒 | ART
朝早くから苫小牧へ向う。目的は苫小牧市博物館の「板谷波山展」だ。苫小牧市に到着し足早に美術館へと向う。途中で「黒川さん」にご対面。





そして、展示場へ。展示室内は主に6つのテーマになっている。

1.四季の草花
日本画のような淡い色彩で絵付けされた作品。素直で好感が持てる。

2.アール・ヌーヴォーとの出会い
笹や八ッ手を大胆にあしらったワイルドな作品群。
「彩磁葡萄文花瓶」:全体に青、そこにグリーンの葉と紫の葡萄を配置した、色彩的には難易度の高い作品だと思う。
「彩磁八ッ手葉文手焙」:八ッ手が南国風に見える。何だか田中一村を思わせる感じ。
「彩磁竹幹花瓶」:これは竹のせいか和風の感じ。青に笹の葉というのが意外に良い。

3.寿ぎの意匠

4.更紗の意匠
インド更紗などをベースにした紋様。
「彩磁草花文水差」:清楚な一輪の花を色を変えながら周囲に散らした作品。

5.中国・官窯への憧れ
「茶葉磁象耳花瓶」:落ち着いた緑色の釉薬。耳から丸い胴体部へのフォルムが素晴らしい。
「氷華磁葡萄彫文花瓶」:白磁のような色彩。全体に散らした葡萄文をよく見るととてもいいのだ。

6.波山の素描
今回かなりデッサンやデザインの展示があった。陶磁器として並んでいるものも、ほとんどデザインデッサンがペアで展示されており、なかなか興味深いところだ。

素描の中では「竹と笹」は完成された感じ。「菊と流水」もデザイン的に非常によく出来ている。「泰西新古模様」というコーナーのデザインは今の私が見るとさすがにクラシックな感じがするのだが、当時は新しい斬新な取り組みではなかったかなと思う。

そして一点中央に展示されている「天目茶碗 銘 命乞い」が良かった。私は三井記念美術館などで茶碗の名品を結構見ていると思うのだが、その感覚でもかなり良いほうにはいるものだと思う。釉薬の絶妙なかかり具合と微妙な色彩が何ともたまらないのだ。

「命乞い」という銘は、山瑕があったために波山が捨てようとしていた茶碗を、出光佐三が無理にもらってきた所からがついたとのこと。こういうエピソードも楽しいものがある。

展示そのものは1室のみでちょっと寂しいが、来た甲斐はある展覧会だった。さて、苫小牧の滞在時間は1時間半弱しかなく、博物館への往復で40分はかかる。急いで駅へ戻ろう。

しかし苫小牧市は大丈夫か。駅前にて閉店してしまったゼウスシティ。



苫小牧駅内のカフェも閉店した模様だ。



苫小牧駅ではホッキ飯弁当を売っているので食べたいところなのだが、到着した電車を確認すると横ロングシートであった。この電車では駅弁を食べる気がしない。駅弁が売れなくなった理由の一つではないだろうか。