散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

生ぬるい東京(9)

2017年11月18日 22時33分19秒 | 飲み歩き・東京
2軒目はまさに東京の伝統店、おでんの「OTK」へ。時間が早いのと、一人客なので何とかカウンターに座れたが、その後の様子を見ると、予約をしなければ簡単に席には座れないように思われる。

ちょうど目の前にメニューがあるので、それを眺めて、まずは燗酒。おでんは豆腐とつみれを注文する。もちろん燗酒はおでん鍋の横で湯煎されて出てくるのである。



つみれは鰯だろうか、魚の味が非常に感じられるもの。ほんのり柚子の香りも効いていると思う。豆腐は出汁の甘さとほぼ一体化したような、実にいい味わい。大根よりも豆腐の方が、出汁の味が分かるかもしれない。

次はがんもと里芋。がんもは割としっかりした歯ごたえで、昆布の歯ざわりが面白い。里芋はネットリとした舌触りを残した傑作。今年は京都でも美味い小芋を食べたが、こちらは育っている分、味が濃厚か。



燗酒をもう一本もらい、次はちくわぶと銀杏。銀杏はまあそのままの味に近い。ちくわぶは多分生まれて初めて食べると思う。東京の人以外には評判の悪いおでんの種だが、これはこれで良いかも。小麦の味がするため、ある種のネッチリした歯触りのパスタのようなところがある。



2軒目とあって、かなり腹がいっぱいになって来た。最後にねぎまを注文。



葱のところを食べると、葱の中心部が飛び出そうになり、危うく「ねぎまの殿さま」を地で行くところであった。

幸いカウンター席に座ることが出来たので、大将の仕事ぶりと目配りを見ることができて、大変良い体験だった。高そうな一品料理もあったが、おでんは値段表を見ながら食べれば、それほど高い店ではない。また寒い時期に東京に来たら、寄ってみたくなるであろう。



この後、本屋さんに行く関係上(浜松町にある)、山手線からモノレールを乗り継いで羽田空港へ。



飛行機の中ではまた爆睡し、新千歳空港に着いた時には、やはり空気の冷たさが全く違うのであった。その後、エアポートで札幌に移動し、電車を乗り換えて琴似にたどり着くと、そこで見たのは雪景色であった。


生ぬるい東京(8)

2017年11月18日 17時06分38秒 | 飲み歩き・東京
新橋に移動して、1軒目は食堂兼居酒屋「MS」へ。建物の新しさからして、昔からの食堂で一杯飲める店という感じではない。おそらく水産会社が経営している店だと思う。まだ人の少ないカウンター席に腰かけ、酎ハイ、イカ人参、マグロぶつを注文する。

すぐに酎ハイとイカ人参がやって来た。これは福島県の郷土料理で、人参とスルメを合わせたつまみである。イメージよりちょっと人参が太く、歯ごたえがありすぎるかもしれないね。



マグロぶつはまず普通の味。後は180円のあら煮を試してみたかったのだが、残念ながらまだできていないとのこと。



第2弾は抹茶ハイを注文し、タコぶつを頂こう。これはゆで加減よく、歯ごたえもとてもいいタコであった。



やっぱり新しい店だなあ~、と思いながら、1軒目はこのくらいで切り上げることにする。


生ぬるい東京(7)

2017年11月18日 16時12分20秒 | ART
神田から上野に移動。上野公園に入ると、何だか想像を絶するような行列ができている。この場所だと東博ではないし、いったい何だろう。列の横を歩いていると、ポスターが見えてきたのでようやくわかった。そう「怖い絵展」の行列なのである。



あまりの人の多さに、私の心の中に「ビートルズでも来日したのかよ」と実に的外れな感想が浮かんだ。ビートルズ来日時には私は生まれてはいるものの、その行列などは見たことが無い。なぜか突然、そんな比喩が出てくるくらいの人の多さに見えたのだ。


→写真で見ると、そうでもないが。

ああよかったと思いながら東京国立博物館へ。直前に混雑情報を見たところ、切符購入、展覧会場への入場がともに待ち時間無しになっていたのだ。確かに券を購入するのも3人くらいしか前にいないし、開場に行くとたちどころに入場することができた。

■東京国立博物館「運慶」。
運慶「毘沙門天立像」:静岡・願成就院の所蔵品。毘沙門天の姿が非常に整っているところも良いが、踏まれている2匹の邪鬼が中が良さそうなのもいい所だ。毘沙門天の持つ槍の柄が片方の邪鬼の背中に刺さっているのだが、もう一方の邪気がその柄を持って、痛くないように支えているのだ。
運慶「無著菩薩立像」:興福寺の所蔵品。まさしく実在した高僧を思わせる顔だが、等身大よりかなり大きく、相当な迫力がある。その表情は諦念を浮かべ、遠くを眺めているようだが、ニューヨーク・ヤンキース所属の田中将大選手に何となく似ていると思うのは私だけだろうか(と思ったら、似てるかどうか投票させるホームページがあった)。



運慶「世親菩薩立像」:こちらは悲しみの表情で、やや人間らしさが強いかもしれない。その代り、瞳の色が非常に薄いところが不思議な感じである。

「大日如来坐像」:栃木・光得寺の所蔵品。大日如来の周りに浮遊している、雲中供養菩薩の造形がいい。
「四天王立像」:これも興福寺南円堂配置のもの。力感あふれる姿は大きく、大迫力の四天王である。多聞天が宝塔を差し上げて、高く天を見る様子が素晴らしい。
「重源上人坐像」:いるよね、こういう味のあるおじさん。

「四天王立像」:京都海住山寺の所蔵品。今度は非常に技巧的で色彩も鮮やかな四天王だ。
「天燈鬼立像」:今初めて気がついたが、天燈鬼の方だけ、第三の目があるんだね。
「十二神将立像」:東博に5点収蔵されているのだが、静嘉堂文庫美術館から残りの7点が来て、42年ぶりの勢ぞろいなのだとか。



さすがに中は混雑していたが、ある程度高い位置に展示されるものが多いので、何とか一通り見ることができた。国宝12点、重文24点、それ以外1点(なんか気の毒だ)というのはさすがに見どころばかりと言えるだろう。

午前中に見た「驚異の超絶技巧!」といい、この「運慶」といい、私が今年購入したモノキュラー(単眼鏡)が大活躍で大変うれしい。後はショップを見るがそれほど欲しいものが無く、十二神将ガチャを2回やり、自分の干支のピンバッチを見事に獲得したのであった。



続いて、もう一つ見ておきたかったのが、東京都美術館の展覧会である。写真撮影が可能だったので、作品もぜひ紹介したい。

■東京都美術館「REALISM 現在の写実展」。
 

橋本大輔「観測所」:温室のような造りの建物。中には水がたまり、木が生え、自然に帰ろうとしているかのようだ。まさに私好み。



小野田尚之「発電所跡」:こちらはもう自然に帰る寸前の建物。



元田久治「Foresight:Tokyo Skytree」:いろいろな建物の滅びの風景を描く人。スカイツリーもいつしかこうなるのだろう。



元田久治「Foresight:Marina Bay Sands,Singapore」:こういう建物として、このホテルが描かれるのは珍しい気がする。分かりやすい建物だ。



稲垣考二「三面」:巨大な3連作の中央部を写したもの。奇怪なイメージとド迫力がすごい(縦400×横972cmもある)。



稲垣考二「夜行」:同一人物のような、少しずつ違う異世界から同じ人を集めてきたような、不思議なイメージ。



佐々木里加「HYPER BRAIN CYBERNETICS」:よくあるような気もするが、スピード感のある作品。



蛭田美保子「捕食-被食関係」:トマトと茄子とパスタの戦い。誰が一番強いのか。それとも三すくみなのか。



岩田壮兵「花の形」:過剰なまでの鮮やかな色彩に目が留まった。



今どきの写実作品を見ることができて、満足した。ひたすら技術的なリアリズムを追及している側面もあるが、概ね「見たことも無いヴィジョン」を描こうとして、取り組んでいるように思える。但し、単に驚かせれば良いというものではないし、画題と技術の追求は難しいものだと思う。

しかし、もうこれで限界&いい時間だ。上野から新橋に移動して、一杯行こう。

生ぬるい東京(6)

2017年11月18日 12時07分21秒 | 食べ歩き
三越前から神田方面に歩いて、昼食の場所を探す。いくつか発見した店の中から、居酒屋ランチの店「UZ」へ。店が広いと思われるので、ゆっくり一休み出来そうだったのだ。早速入ってみると、一番客になってしまったが(少し気まずい)。その後、10人程度の客がきたので、平穏な気持ちになる。

注文は日替りランチ(チキンカツ)としたが、今考えると、昨日もチキンカツレツではないか。どうやら、チキンカツが比較的軽いだろうという予測と、刺身もついているところからこれにしたようだ。あまり待つことも無く、ランチが到着。



手前に揚げと刺身(サーモン、タイ、タコ)、向こうに切干大根、ひじき煮、冷奴のおかずセットを置く。あらかじめ用意してあったものだろうが、品数が豊富なのは良いことだ。早速チキンカツをと手を伸ばして食べると、あれれ魚フライのようだ。これは鯖かな?



間違えたのかと思い、もう一つのフライを食べると、どうやらこちらはチキンカツであった。2種フライ盛り合わせのようなのだが、だったら最初にチキンカツと魚フライと言っておいて欲しかった。チキンカツの頭で魚フライを食べると、相当違和感がある。

一方刺身は、3種で3切れしかないという、まさにおまけおかずなのだが、海鮮居酒屋らしく鮮度がなかなか良かった。これはご飯も進むが、小鉢3種がどうもおかずとして強く機能しない。しかしこんな時に備え、テーブルには食べ放題の海苔と生玉子が置いてあるのだ。ご飯の残りが少なくなっていたが、幸いなことにかなり小ぶりの玉子だったので、これを投入して玉子かけごはんにして食べる。

何とかこれで昼食は上手い事行った。最後に土曜日のサービスだというアイスコーヒーを飲んで終了。ご飯が美味かったので、これは良しとしよう。


生ぬるい東京(5)

2017年11月18日 11時15分29秒 | ART
歩いて約20分で三越前に到着。しかし東京はなんだかんだ言ってもオリンピック気分なのかね?

 

約10分前に三井記念美術館に到着すると、私より前に10人ほどの人が列を作っていた。並んで待つこと10分、2番手でエレベータに乗り込み会場へ。幸いなことにまだ混雑という感じは全然なく、スムーズに鑑賞ができた。

■三井記念美術館「驚異の超絶技巧! 明治工芸から現代アートへ」。
入口すぐに撮影できる作品が2点あった。これは嬉しい。

初代宮川香山「猫ニ花細工花瓶」。



高橋賢悟「origin as a human」。今回は現代作家の展示があるのも、一つの見ものである。



春田幸彦「有線七宝錦蛇川鞄置物「反逆」」:七宝でヘビ皮の鞄を表現しているのだが、「反逆」とあって、ヘビの頭部がグイっと飛び出て主張している。
三代正直「釣瓶に蝦蟇」:木目のある部分には、蝦蟇と小さなかたつむりを配置し、釣瓶はまるで鉄のような仕上がり(木彫・牙彫)。
前原冬樹「一刻:皿に秋刀魚」:テレビで見たことがあると思う。リアルな食べかけのサンマも凄いが、それが乗っている皿も含めて一木造というところに驚かされる。

稲崎栄利子「Arcadia」:陶芸らしいのだが、まるで星砂やサンゴに見える細かすぎるほどの造形は、もはや生き物だ。
安藤緑山「胡瓜」:これも見て無言にならざるを得ない作品。
山口栄紀「右心房左心房」:墨絵で描いた高速道路だが、右と左が反転した写真のように見える。しかし片側のみ車が走っており、動脈と静脈のモチーフになっているのだろう。

並河靖之「超に花の丸唐草文花瓶」:色彩が本当に素晴らしい作品。葉っぱのデザインがアールヌーボーを思わせる。
濤川惣助「舟鷺図皿」:絵付けをしたとしか思えない、無線七宝の作品。
本多與三郎「龍鳳凰唐草文飾り壺」:壺の表面を幾何学模様で区切り、その中をやり過ぎの七宝が埋め尽くす作品。

野原貞明「蔬菜図文庫」:野菜を表現するのはいい。
精巧山「雀蝶尽し茶碗」:内側の蝶の文様は、もはや目の限界。見えない!
安藤緑山「干柿」:あえて地味な題材をリアルに表現。

満田晴穂「自在蛇骨格」:いわゆる「自在もの」なのだが、約500のパーツでヘビの骨格を作り出している。まさに「どうかしている」作品。
正一「蛇」:自在ものを木のパーツで作成。金属でなくても可能なのか!
正阿弥勝義「古瓦鳩香炉」:これもテレビで見た、どう見ても瓦にしか見えない金工作品に小さなクモがとまっているもの。

前原冬樹「一刻:刀」:鉄さび模様の刀もさることながら、台座に無造作に打ってある釘までが一木という驚異の作品。
前原冬樹「一刻:有刺鉄線」:有刺鉄線とそれに絡みつく植物のつるを掘り出したもの。その辺に置いてあれば、誰も作品とは思わない出来。
本郷真也「流刻」:オオサンショウウオの実物大サイズ? 迫力ある。
臼井良平「Water」:ビニールに水を入れたものにしか見えないガラス作品。持った時の擬音が「タプン」としそう。

いやー、やっぱりすごかった。昔の作品は見たことがあるものもあったが、現代作家がやらかしていたのが収穫。とにかくどうかしてるぜ! のオンパレードで見ごたえのある展覧会だった。思わず図録も購入し、グッタリしたので、少し昼めしでも食べて休むことにするか。


生ぬるい東京(4)

2017年11月18日 09時31分41秒 | 食べ歩き
快適に6時頃起床。テレビなどを見ながらダラダラ過ごす。このホテルは新聞を部屋の前まで持ってきてくれれば、さらに申し分ないのだがなあ。

7時を過ぎたところで、昨日買っておいたトムヤムラーメンの朝食。かなり手加減のない辛さだった。

 

この後、美術館のオープン時間に合わせてダラダラし、9時半に出発する。銀座から三越前までなら歩いて行けるだろう。