散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

静岡再訪(14) 石田徹也展

2015年02月22日 11時53分13秒 | ART
断続的に夜中目が覚め(乾燥しているせいか?)、結局6時に起床。朝飯は静岡ならではの富士宮焼きそば(カップ麺)だ。少々胃がもたれているが、結構良くできたカップ焼きそばで、するすると食べてしまった。

 

本日は9時頃出発。今日の天気予報では雨になる予定。ホテルを出た時はまだ大丈夫だ。



まずは静岡県立美術館へ行こう。静岡駅から電車に乗り草薙駅に到着。ここからバスに乗って美術館へ。近いせいもあって100円の料金であっという間についた。



まずはなんと言っても気になっていた「石田徹也展」を見ていこう。会場前に人が並んでいるので少々驚いたが、実は別のイベントのための行列らしく、結果的にチケット売り場には1番に到達することになった。そのまま入場。

「弱い者いじめは、やめよう!」:11歳の時の有名なデビュー作品。これがあったか。
「カフェブルーマウンテン」:青いカフェ、男、コーヒー豆を描いた、ロックウェル的な作品。
「居酒屋発」:ささやかな幸せか、それとも酒で紛らわすサラリーマンへの皮肉か。

「みのむしの睡眠」:彼の作品にはいろいろなものに包まれているものが多い。単純に母体回帰ではないかもしれないが。
「無題」:テレビのブラウン管を乳母車に見立て、その中にすっぽり包まれるサラリーマン。彼はテレビにおぼれることへの不安感を持っていたようだ。しかし、もう少しするとその厚みのある立体がテレビだと分からなくなるのかもしれない。
「無題」:エコー像に浮かぶ、胎児状にまるまった成人男性。やはり母体回帰か。

「鯉の夢」:鯉の模様という大胆なパジャマを着て、船の形をした寝台の中で眠る男。石田本人のアイディアメモで「鯉は女性器の象徴」と書いてあるのだが、見た感じは特殊な職業の方のド派手な服の模様にも見える。
「不安な夢」:自分がクモになってしまったのか、それともクモに後ろから襲われているのか。
「使われなくなったビルの部長のイス」:同じような「社員のイス」作品もあるのだが、部長の椅子のほうが少し豪華なのである。しかし今時、昇進したら椅子が変わるという分かりやすい会社はあるのか?(あるんだろうな)

「兵士」:サラリーマンの服装でビル陰に隠れる男。傘をライフルのように持ち、足は銃で撃たれたのか包帯を巻いている。
「飛べなくなった人」:しがらみで動けないという彼の代表作。
「社長の傘の下」:巨大社長がリングを回し、そこに飛べない飛行機のようにつながれたサラリーマン。

「コンビニエンスストアの母子像」:男がカゴにすっぽり入り、聖母のような表情をした店員にPOSレジの読み取り装置を当てられている。
「燃料補給のような食事」:ファストフードチェーンらしき所で、口に給油されている男たち。
「無題」:左手にはミシン、右手はマークシートが記された布を押さえている。試験の悪夢か。

「囚人」:学校の校舎に全身を埋め込まれた男。確かに学校にはそういう要素がある。
「市場」:老女にすがる2人の男。老女の胸にある暖簾から、また一人の男が顔を出している。シュールな雰囲気の大作。
「無題」:リフトのかごから手を差し伸べる消防団員。かごにはすでに2人の男の子がいるのだが、一人は体がかごからはみ出している。死の世界への誘いなのかもしれない。

おそらく石田徹也の代表作を含め、その画業をほぼ一望することのできた展覧会なのだろう。満足感と共に、何ともいえないやるせない気持ちが湧き上がってくる。彼にはいろいろなものが耐えられないように見えたのかもしれないが、サラリーマンを20年以上やってきた者としては、そうとばかりも言えんぞと思う所もある。

ロダン館は一度見たので今回はスキップし、屋外の彫刻プロムナードを見ながら駅に戻る。JR駅まで行くのはやめて、静岡鉄道の県立美術館前駅に到着。目の前で電車が行ってしまったのだが、何とか12分後に発車する電車に乗り、新静岡に戻る。

 


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