魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

高揚感をもたらすものの違いというお話

2024年07月28日 17時41分47秒 | 環境問題

この間から流れているTwitter、現(略)のツイート。黄色くマーキングしているのがもとツィート(一部略している)。詳しく読みたい方はリンクを貼っておくので、リンクの「Twitter」の文字をXだかYだか、あるいはももいろクローバーみたいにzにでも変えてみてみてください。

MORIX @morix082

カブトムシの写真撮ってたら、若い男性2人組が登場。
「ペアや!ジモティーで1000円で売れるで!」と言いながら網を伸ばしてきたので、撮影中だと伝えたら舌打ちされた。

「生き物→売れるやん!」って考えが一般的になりつつある世の中…嫌だな。

引用もと:https://twitter.com/morix082/status/1816801633428447491 MORIX (@morix082)さんのTwitterより)。

昆虫といえば、私たちの時代では捕虫網をもち、夏の暑い中にトンボやらセミやらを追いかけ、トカゲやカエルなど捕まえようものならもう(いい意味で)大パニックであった。わーい、やったという高揚感がある。その高揚感はどこから来るのかというと、「これまで探していたものを捕まえることができた喜び」「捕獲したら家で飼育して楽しむ喜びと責任」というものが大きい。しかし、いま若い人たちが味わうその高揚感は「ネットオークションに出せば●●円で売れる」とか、そのような「カネ」がからむものになってしまっている。生き物イコールカネになる。それだけではあまりにも悲しいし、そんなことばかりやっている人は、えげつない量の生物をオークションに出していたりする。

では、漁業だっておんなじではないか、昆虫採集を「業」としてやっている人もいるじゃないか、そのような意見を聞くこともある。しかしこういう業というのは(少なくともタテマエでは)永続的に、持続可能なように、獲りすぎない工夫や規則などが(一応)ある。その日暮らしの小遣い稼ぎのような輩とは違うのである。しかも先述のようにえげつない量の生物をオークションに出すわけだから、その地域の個体群に大きな打撃となってしまうのである。

なお写真は今年初となるカブトムシの雌。今年はいつものクヌギの木のある場所で何度も昆虫を探しているものの、残念ながらアリさんくらいしかみていない。カブトムシは雌が飛んでくることが多く、これもライトに飛んできたものである。今はパリでは4年にいちどの祭典、ようやくまともな形で復活しめでたい。太陽の冠にはみなさんお気をつけて!

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全国の国立公園に高級リゾートホテル誘致

2024年07月19日 16時27分08秒 | 環境問題

【独自】全国35カ所の国立公園に高級リゾートホテル誘致、岸田総理が表明へ(テレ東BIZ)

https://news.yahoo.co.jp/articles/621294f8031d7cf307bc9cd46a3e326eddb49a95

全国に35か所あるすべての国立公園にリゾートをつくるという表明。要は「外国人観光客がたくさん来てくれても三大都市圏に集中しているから、地方にももっと外国人観光客が来てくれるように」ということである。また「国立公園の魅力を高める」ということも含まれているという。たしかに、自然公園法では「利用も促進」とあるから間違ったことは言っていないのかもしれないが、外国からたくさんの観光客を呼び寄せるというのはどうなんだろうか。そりゃあたくさんの人がお金を落として地元の人はうれしいかもしれないが、「お金」という目先のことにとらわれたのではその国立公園がもつ魅力を失うことになるかもしれない。

筆者は最近は沖縄県を2回、2019年、2020年に訪問している。2019年はまだ例の太陽の冠が流行る前であり、恐ろしい数の人が公設市場や町中、沖縄美ら海水族館にあふれていた。そしてその多くの人の話す言葉は明らかに日本語ではなかった。2020年は太陽の冠が流行ったが人はそれなりにいた。しかし中つ国の言葉を話す人は消え、つかの間の静けさが訪れた。現在は沖縄にも中つ国の言葉を話す人が戻ってきているといい、地元民は概ね歓迎しているものの、治安の問題であったり、天然記念物のオカヤドカリの違法な捕獲、それも大量の捕獲など問題が多い。正直いって、「地方は静かにしてやってくれないか」「有名な観光地や高級ホテルがなくても地方に魅力を感じ訪問する外国人は大歓迎」と私はいいたい。ただでさえ西表島などオーバーツーリズムが問題になって入島料とかいう話になっているはずなのに・・・

そして国立公園周辺にも開発が行われ貴重な自然が失われるということは西表島などで散々見てきたものである。石垣島のゴルフ場・リゾート問題もまだ残っており、生き物たちが安心して暮らせる日々はまだまだ遠いのかもしれない。この報道が勇み足であることを祈るしかない。

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カワムツ問題

2024年04月16日 09時06分05秒 | 環境問題

この間の採集ではカワムツの姿も目立った。いや、中層を泳ぐ魚で獲れたのはほぼこのカワムツであった。

カワムツといえば以前このぶろぐでも触れたことがあるが、自然分布は東海地方以西の本州、四国、九州、一部の島嶼である。つまりもともとは関東には生息していなかった魚である。しかしライバルが少ないからか勢力を伸ばしており、この間の採集ではほかの「ハヤ類」を採集することは叶わなかった。おそらく競合関係にあるアブラハヤやらウグイやらはそうとう数が減っているのかもしれない。杞憂であればいいのだが。

関東に本来いなかったカワムツがなぜ関東にいるのかというと、アユの放流に混ざってやってきたという可能性が高い。琵琶湖のアユの放流に混ざり、多くの種の淡水魚が関東の河川に見られるのが昨今である。茨城県や神奈川県ではハスが定着しているというし、ワタカやスゴモロコさえ見られるようになってしまった。九州ではギギがどこからかやってきてアリアケギバチと競合し、アリアケギバチの個体数が減っているという。これも放流によるものであると思われる。アユの放流の負の側面のひとつである。

茨城県産カワムツ

「国外からの外来魚ならともかくカワムツごときで椎名さん騒ぎすぎ」なんていう方もいるのかもしれない。しかしながらカワムツは餌や生息環境などがアブラハヤと競合する。つまり、アブラハヤに餌が行き渡りにくかったり、すみかをカワムツが奪ってしまったりする可能性がある。したがって、カワムツが大量に増えた河川というのは、ほかのハヤにすみにくい可能性がある。同所に生息している西日本の河川ではカワムツばかりたくさんいるわけでなく、アブラハヤやオイカワなどの似たニッチの魚が、それぞれ多過ぎず少なすぎず共存していたが、北関東の河川ではバランスが大きく崩れている場所が多いよう。今ならまだ、採集者が少しずつ駆除していけば間に合うかもしれない。

ここまで散々カワムツに文句を垂らしてきたが、悪いのは故意でないにしてもカワムツを放った人間。椎名さんも本来はカワムツ大好き人間である。ただ、好きだからこそ近くにいて欲しくないという気持ちもある。今回も何匹かお持ち帰り。一部はアリアケギバチの餌になった。また今度は西日本で在来のカワムツを採集したいものである(欲を言えばヌマムツも)。

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ここ数日間の環境問題

2024年04月03日 21時30分06秒 | 環境問題

新年度に入ったが、今日も大変なニュースが色々。加油臺灣!しかし、地震のほかにも様々な環境の問題があったので、解説していく。

●またもネコの不適切飼育

これだけ旧年度のニュースである。群馬県で飼育されていたコールダックがネコに捕食されたというものであり、飼い主がTwitter(Xと改名)でツィート(ポスト)した。このときコールダックは日光浴をしており、飼い主が少し目を離したときにおこった出来事であった。日光浴をしていた場所は道端や広場でなく、飼い主の庭だったようで、そこにネコが入って来たものである。4月2日にはネコがウサギの幼獣を咥えて持ってきたというツィートもあった。ネコは小型の哺乳類や鳥類のほか、昆虫や爬虫類などさまざまな生物捕食する肉食動物である。

コールダックを襲ったネコは飼い主がいたもので「ノネコ」「地域猫」ではなかった。高齢者だと、「昔ながらの」ネコの放し飼いをしているケースもあるという。しかし現在はネコは野外で放し飼いにすると、野生動物を襲うということがある。いや、野生動物だけでなく、日光浴中の生き物や、飼い主と庭で遊んでいる生物も。それにより絶滅の危機に瀕している生物も多数いる。だからみんな「ネコは屋内で飼育して」と言っているのである。また、屋内で飼育していると、天敵に襲われるリスクや、ほかのネコとの争い、寄生虫や病気を持ってくる心配がなく、健康で長生きする。屋外でネコを飼育していることを「不適切飼育」と声大きくし指摘していかなければならないだろう。トップ写真のネコはノネコで、飼育ネコと比べると不幸なように見える。

 

●ニジサクラの放流

またしても放流のニュース。今度は山形県の「ニジサクラ」。ニジサクラというのは山形県の内水面水産試験場が開発した「ご当地サーモン」のひとつで3倍体。その名前の由来は「ニジマス×サクラマス」からきているようである。どちらもサケ属であり、交雑個体ということになる。このニジサクラの増殖を行う公益財団法人「県水産振興協会」が河川に放流した。放流した理由は「出荷がキャンセルになり、そのままでは大きくなるため河川に放した」そうだ「。水産庁は生殖能力のない「3倍体個体の放流による生態系への影響が確認できなかった」ことから3倍体の放流を解禁しているという。

一応生殖能力はないとされるが、万一のことも考えられるし、寄生虫、病気など様々な問題も考えられる。この手のケースはほかにもあり、日本国内で外来魚を養殖していたものの、需要がなく養殖を放棄、残った個体を放流または逸脱してしまったというものはいくつかある。筆者は日本国内での外来魚の養殖には反対ではないし、実際に大きなものではニジマス、小さなものではコリドラスやベタ、グッピーなどのブリードもある。しかし結局外来魚の養殖というのは需要をしっかりつかむ必要があり、もし需要がないのであれば一切手を出すべきではないだろう。

しかし交雑しないだけでほかの魚を捕食することもあるため、水産庁の放流解禁は問題があっただろう。この間の岐阜県の「ニジマス」については民間業者だったからか大きく騒がれたが、今回は県や公益財団法人もかかわっているからか、騒ぎが少ないのが気になる。

※ただこれを報じた「山形新聞」については残念ながら全文は会員登録しないと閲覧できず、Yahoo!ニュースの山形放送のニュース動画などを参照にしているので、この記述は正確なものでないかもしれない。申し訳ない。

 

●希少淡水魚の生息地の開発

最後は某県。某県には希少種であり、「種の保存法 ()」の指定種で採集や飼育が禁止されている某淡水魚がいるのだが、その生息地で大きな浚渫が行われている。この種は今が産卵期であり、特異な産卵習性を有しているのだが、この浚渫の影響で大きなダメージを受けてしまったのは間違いないであろう。

そもそも「種の保存法()」においては、「飼育や採集は禁止」されているがその一方で、淡水魚生息地の開発・改変については「開発を差し止めることができる」旨述べられており、この法律が生物多様性保全にとってはほとんど何の意味も持っていないのは明らかである。であれば、そろそろこの法律自体見直さなければならないのであるが。

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外来魚食べて駆除、どのような考えで挑むべきかというお話

2024年03月31日 15時13分04秒 | 環境問題

今日は3月31日である。つまりはもう年度末である。今年度は海には4回ほど行った。ただし遠征ばかりであり、お金が厳しい。魚を購入することも昨年度ほど多くはなかった。

外来魚チャネルキャットフィッシュをつかった「なめパックン」。茨城県行方市、道の駅たまつくり

最近は外来魚を「食べて駆除」という話をよく聞くものである。近年は環境教育というものもあり、外来生物の学習などもある程度行われており、各地の高校などで外来魚をはじめとする外来生物の利用などについても語られるようになった。そこには「外来魚の積極的な利用」ということが語られる。ただし、現在日本にいる「外来魚」はその多くが「利用するために」日本に導入されたものであることを念頭に入れるべきだろう。

先月長良川の一件で話題となったニジマスなどはその例であろう。ニジマスは釣り堀などで釣るためのゲームフィッシュとして、あるいは食用として利用するために大量に養殖されている。その歴史は外来魚の代名詞ともなっているオオクチバスよりも長い。しかしながらその養殖場、もしくは釣り掘からの逸脱により野外に逃げ出し、あるいは漁協により放流が行われ、在来種に悪影響をおよぼしている現実がある。オオクチバスが今なおあちこちの河川、池沼に見られるのもゲームフィッシュとして(違法な)移植放流がなされているからにほかならない。これも「外来魚の利用」である。在来のメダカと似た生態系の地位をもち、仔魚を産むことで繁殖力が高いカダヤシも、ボウフラの駆除のために持ち込まれたものであり、これも「外来魚の利用」である。つまり、ひとくちに「外来魚の利用」といっても利用方法を誤るとかえって環境に悪影響を与えてしまう。外来魚の積極的な利用は、「食用にするため」のような致死的なものに限るようにすべきであり、「持続的・恒久的な継続」にならないようにするべきであろう。「SDGs」と絡めるのであれば、「短期間持続的に外来魚を積極的に利用し、かつ早いうちに根絶できるような利用法」ととらえるべきで、「外来魚の恒久的な利用法」にしないよう注意が必要だ。

なお、外来魚はほとんどが淡水魚であるため、食べて駆除というのは積極的にしにくい場合も考えられる汚濁が著しい場所の魚はよほど慣れている人でないと食するのに抵抗があるし、寄生虫の懸念もあるため生食は危険。魚類ではないが魚類同様水生の生物としては最近話題となった「じゃんぼたにし」ことスクミリンゴガイなどは卵に毒をもつという。「食べて駆除」はけっこうなことではあるが、事前に調べておかないと危ない場合がある。

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