今日の魚 2006.7.28
オヤビッチャ Abudefduf vaigiensis
今回は西日本の太平洋側の人々には極めてメジャーな種類を取り上げます。縞模様のある磯の餌盗り、オヤビッチャ。
写真:高知県産、2006年6月1日採集。
●西日本太平洋側
愛媛や高知などの四国沿岸でも良く見られます。しかしもともとは沖縄などの熱帯域が原産のようです。その卵が黒潮に乗り、四国沿岸に流れ着き、温暖化の影響もあって定着したのでしょう。もちろん四国だけにあらず、紀伊半島や九州南岸でもそうですね。
●日本海側 玄界灘
写真:福岡県福津市(旧津屋崎町)で2005年7月4日に採集。
このオヤビッチャは2005年に福津市でたも網採集したものです。近年は太平洋側だけでなく日本海側でも色鮮やかな熱帯魚を見ることが多くなったようです。このオヤビッチャをはじめ、コバンヒメジ、ウミヒゴイ、コロダイ、ネズミフグ、ホシフグ、ハタタテダイ、ツノダシ、ハナオコゼ、ナンヨウツバメウオ・・・地球温暖化の影響か、それとも対馬暖流が強くなったのか。
2004年の夏、福岡県の玄界灘沿岸で婚姻色の出たオヤビッチャを水中で見ました。越冬しているのかもしれません。
●今年は・・・
日本海側では例年7月から獲れるのですが今年は、まだ見ていませんが、8月には現れるでしょう。
●利用法
観賞魚としても知られる魚ですが、食用にもされます。ただし脂っこい魚なので、あまり多くは食べられないかも。味は美味しく、大きいものは塩焼き、小さいものはから揚げをお勧めします。
●オヤビッチャの仲間
オヤビッチャの仲間はAbudefdufは世界中の熱帯・亜熱帯海域から約20種類が知られています。日本ではオヤビッチャ以外にも、ロクセンスズメダイAbudefduf sexfasciatus 、イソスズメダイAbudefduf notatus、テンジクスズメダイAbudefduf bengalensis 、シマスズメダイAbudefduf sordidus 、シチセンスズメダイAbudefduf septemfasciatus が知られていましたが、近年新たに琉球列島からローレンツスズメダイAbudefduf lorenzi が見つかり、この仲間の日本産種は7種類になりました。私がメインで採集をしている高知県ではローレンツスズメダイを除く全種が見られます。
シマスズメダイ 2004年8月15日、宮崎県で採集。
●追伸
実は昨日水族館にいまして、そのときの魚の写真を掲載する許可も得ましたので次回は掲載しようと思います。明日、愛媛に帰ります。