最近宮崎にお住いのFacebookフレンドの和田さんから、宮崎県の珍しい魚を色々と送っていただいた。最近忙しいが、少しでもこのぶろぐで紹介していきたいと思う。
今回まずもっとも注目だったのがオニオコゼ科のヒメオコゼ。実は長く探していた魚であった。日本においては本州中部から九州沿岸にまで広い範囲に生息する魚であるのだが、なぜか長いこと見たことがなかった。以前ホームグラウンドとしていた福岡の津屋崎の漁港ではハチなどと一緒にぷかぷか浮いていたものだが、それ以降は全く見たことがなく、和田さんにお願いして入手した種類である。ありがとうございました。
▲ヒメオコゼ軟条
オニオコゼ科ということで、胸鰭下部の軟条が遊離するのだが、本種は1本しか遊離しておらず、オニオコゼ属と見分けるのは難しくはないだろう。オニオコゼでは2本遊離する。その一方ダルマオコゼ属やオニダルマオコゼ属などでは胸鰭の軟条は遊離しない。またオニオコゼはかなりグロテスクな見た目をしているが、ヒメオコゼにはそのような感じはない。
▲ヒメオコゼ尾部
ヒメオコゼ属は日本には3種が分布しているが、日本産のうち尾鰭に明瞭な横帯があるのはヒメオコゼのみである。ほかの種類は尾鰭に明瞭な斑紋がなかったり、あるいは黒くて小さな斑点があったりする。なおヒメオコゼも背鰭の棘に毒があり刺されると痛むという。小さい個体であっても要注意だ。水深50~80mの場所に多く見られ、定置網や底曳網で漁獲される。瀬戸内海など多く獲れる海域では食用とされるが、九州ではそのようなことはあまりないらしい。