我が家にアカエイと思われるエイがやってきた。最近食べてきたエイはみなガンギエイ科のエイであった。そのため当ぶろぐでもアカエイの紹介は久しぶりである。というか、紹介していたとは思ったが記録はなかったようだ。ごく普通にみられるエイであったが、おそらく初登場になるものであろう。
ただこの個体をアカエイとするのには疑問点がある。まず体盤腹面縁辺の色である。アカエイは黄色みが強いのだが本種はそのようになっていない。アリアケアカエイの可能性もあったが、アリアケアカエイでは鰓孔の下の溝の様子が違う(本個体ではしわのよう)。また体盤縁辺の色彩も違うようだ。一方シロエイというのはこのような体盤腹面の色彩をしているようだ。しかし、本個体は噴水孔の周辺が黄色い。これはシロエイと違うところである。
皮褶の色彩は黒い。これはアリアケアカエイとはことなり、アカエイとシロエイの特徴である。もっとも、このサイズの個体では特徴がでていない可能性もある。結局、種類は残念ながらよくわからない。アリアケアカエイもアカエイも長崎ではよく見られ、シロエイは有明海のほか五島列島近海にすむが、おそらくは朝鮮や中国のほうに多い種類であろう。
アカエイ属は「日本産魚類検索」第三版では10種ほどが掲載されているが、現在は日本産アカエイ属魚類はアカエイ、イズヒメエイ、アリアケアカエイ、オナガエイ、シロエイの5種のみで、ほかは別属に移された。さらにアカエイ属の属学名もDasyatisから、Hemitrygon属に変更になっている(Dasyatisは東太平洋-大西洋産のものとされた)。
アカエイの仲間の尾には大きな棘がある。これには毒があるため、刺されると激しく痛む。大型の個体だと、刺さりどころが悪いと命を落とすこともある。実際に「シーシェパード」のシンパの、著名なダイバーが2006年にオーストラリア近海でアカエイの仲間(種は不明)に刺されて死亡したケースがある。そのため市場に出ているときにはこの棘が切り落とされていることが多い。そのためこの仲間はよい写真が撮影できていなかった。しかしようやく棘付きのよい個体を今回入手できた。
今回のアカエイ属は唐揚げにして食べた。同定に難儀した個体ではあったが、調理については悩むことはない。きわめて美味しい。
今回の謎のアカエイ属は長崎 印束商店の石田拓治さんより。いつもありがとうございます。