昨日届いた魚を今朝写真に撮りました。初めて見る魚が入っていて、びっくり。
アマダイ科のキアマダイBranchiostegus auratus (Kishinouye, 1907)です。
日本産アマダイ科魚類は1属、5種が知られており、本州~九州沿岸ではアカアマダイ、シロアマダイ、そしてこのキアマダイが見られます。スミツキアマダイは山口県でも採集されているようですが、普通は東シナ海に分布、昨年新種記載されたハナアマダイは琉球列島周辺の泥底の海に分布します。
キアマダイは背中線が黒く、シロアマダイやハナアマダイと見分けることができます。アカアマダイやスミツキアマダイとは、以下の特徴によって区別されます。
アカアマダイ
キアマダイは、日本の広域に分布し、もっともよく消費されているであろうアカアマダイBranchiostegus japonicus (Houttuyn, 1782)に似ています。この2種は頭部の特徴により区別できます。
キアマダイBranchiostegus auratus (Kishinouye, 1907)の頭部。キアマダイの眼のやや前方下には白色線が1本あります。頬の鱗は明瞭です。
アカアマダイBranchiostegus japonicus (Houttuyn, 1782)の頭部、眼の下には白色線がなく、眼後下縁には三角形の斑があります。頬の鱗はその多くが皮下に埋没し、不明瞭です。ちなみにこのアカアマダイの眼の周りに白い輪のようなものがあるように見えますが、これは目玉が飛び出ていた状態だったのでした。
アカアマダイはキアマダイ同様、沖合底曳網漁業などによって漁獲されるのですが、キアマダイよりもやや浅い場所に多く生息しています。
スミツキアマダイBranchiostegus argentatus (Cuvier, 1830)は東シナ海では漁獲されるのですがそれ以外では少なく、東日本ではなかなか出会う機会のないアマダイです。したがって、スミツキアマダイの写真はなし。キアマダイBranchiostegus auratus (Kishinouye, 1907)の背鰭、前のほうに黄色域があるのですが、それ以外には目立つ斑紋はなし。スミツキアマダイは背鰭に黒色斑が並んでいるようです。また、頭部眼の下には2本の白色線がありキアマダイと区別できます。
いずれの種類も食用として重要です。シロアマダイは日本産アマダイでは最も美味とされ、お値段も張りますが、アカアマダイはシロアマダイよりも安価、白身で塩焼き、刺身などに向いています。