魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

深海魚47.オニキホウボウ

2009年06月30日 19時34分41秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

奇妙な形状の深海魚であるキホウボウ類。その中でもこのオニキホウボウGargariscus prionocephalus   (Duméril)は特異的なルックスの魚です。

オニキホウボウはオニキホウボウ属に含まれる唯一の種です。頭部に巨大な棘を持ち、鰓蓋骨に大きな棘を備え、上顎にのみ歯があるのが特徴です。分布は和歌山県、土佐湾から台湾(台湾産魚類データベースも参照のこと)、フィリピン、スラウェシ、オーストラリアにかけてと分布域は広いのですが、個体数は多くはありません。硬い鱗に覆われており、まるで「プレコ」のようです。

ちなみに「プレコ」とはこんなの↓(種はマダラロリカリア)

この魚は非常に珍しい魚で、あまり見つかっていないようです。この貴重な標本は高知県足摺沖の水深270mからトロールで漁獲されましたが、ベテランの漁師さんの方々もみたことはなかったようです。この個体は耳石を取り出したのち、固定保存されました。

※高知大のほうへと旅立ちました。(2009年8月)

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

深海魚46.ベニカワムキ

2009年06月29日 12時40分33秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

深海魚といえば、皆さんが思い浮かべるのは、「奇抜な姿」「グロテスク」でしょうが、こんなかわいらしいものもいます。この魚はベニカワムキTriacanthodes anomalus   (Temminck and Schlegel)という魚で、ピンク色+大きな目のかわいらしい魚です。

ベニカワムキは水深100m以深からトロールで多量に漁獲されます。この個体は水深120mから採集されました。

本種はフグ目ギマ亜目ベニカワムキ科に含まれます。ギマ亜目の特徴としては腹鰭が大きく、1対あり、強い棘となっていることからフグ・カワハギ等含むフグ亜目と区別できます。本科の魚はギマ科と比べて尾柄部が短く、尾鰭後端2叉しないことで分けられます。

このような棘は、他にもソコマトウダイとか、マツカサウオなどでみられます。

ベニカワムキ科の魚はトロール漁業では非常に多く水揚げされるのですが、全く利用はされておらず、全て廃棄されます。主に漁獲されるのは本種で、よく似たフエカワムキも多数上がります。水族館で飼育されたら人気が有りそうなのですが、残念ながら水族館に生かしたまま搬送するのは困難なようです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

深海魚45.カゴカマス

2009年06月28日 19時58分07秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

本日2回目の投稿になります・・・。この魚はカゴカマスRexea prometheoides   (Bleeker)という魚です。カマスという名ではありますが、カマスの仲間ではありません。ただ、「マダイ」と「マトウダイ」や、「マダイ」と「コブダイ」といった関係よりは近いですが。

この魚は「サバ」や「タチウオ」などに近縁なグループで、体型はサバによく似ており、口、特に歯の形状はタチウオに似るという面白いグループです。この魚の特徴としては、側線が1本で波打っていることがあげられます。

また、本種では腹鰭が退化しており、この個体のように無くなっているものもあります。生息水深は150から540mまでで、今回は水深150m付近からトロールによって1個体のみ、漁獲されました。通常はもっとたくさんの個体が入るようですが・・・

本種は英語圏ではRoyal escolarといいます。Escolarとは、アブラソコムツ(もしくはバラムツ)のことをさしています。アブラソコムツとバラムツは肉に多量の脂を含む (食べて中毒を起こす) という理由で食用が禁止されています。

カゴカマスもこの2種ほどではないですが、脂が強いです。今回はフライパンで焼いてみましたが、味はまあまあ、しかし小骨がちょっと硬くて食べにくい。今後の課題です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

深海魚44.イソキホウボウ

2009年06月28日 12時15分35秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

頑丈な鱗を着込んだ深海の変わり者、イソキホウボウSatyrichthys rieffeli   (Kaup)です。

イソキホウボウは南日本とオーストラリア、アラフラ海の水深65~500mに多産するキホウボウ科の魚です。キホウボウ科の魚は小型、という印象がありますが、本種はその中では大型種で、この個体は体長が205mm有りました。

本種を含むイソキホウボウ属魚類は大型種が多いです。イソキホウボウ属は本邦では5種が知られ、そのうち本種が国内では最もよくみられる種のようです。本種の体側には小さな暗色斑点が多数あることで、他の4種と見分けがつきます。キホウボウ科については近年、再度系統分類が試みられ、その結果キホウボウ科には6属が認められることになりました。これについては日本魚類学会のページに詳しく掲載されています。

今回の航海では5種のキホウボウ科魚類に出会うことが出来ました。本種は水深270mと120mの2ヶ所で1個体ずつが採集されました。あとの3種も、機会があれば、ご紹介したいと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

深海魚43.ユウダチトラギス

2009年06月27日 12時45分05秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

深い海に生息するトラギス科の普通種、ユウダチトラギスParapercis decemfasciata   (Franz)です。

ユウダチトラギスは、以前紹介したオキトラギスに似ていますが、オキトラギスは尾柄部に大きな暗色紋があるのに対し、本種にはそれがありません。生息水深はともに120~200mで、一回の揚網で同時に入ることもあります。

トラギス科の魚は基本的に肉食性で、海底にすむ甲殻類などを貪欲に食べ、成魚は小魚も捕食します。

写真は別の個体ですが、なにやら寄生虫がついています。

これはペンネラと呼ばれるものでしょうか。変わった姿をしているのですが、これは甲殻類の仲間です。右側の根っこのような部分で魚の体表に張り付き、体液を吸い取ります。これらの寄生虫はトラギス類では結構よくみられるようです。

連日、深海では甲殻類とトラギスが食う・食われるを繰り広げているのでしょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする