さて、今日は4年に1回の閏日。これで2月もおしまいです。今月は「ニジマスの放流」と、職場のオバサンに振り回された一か月となった。魚も今月はチカを購入しただけ。なんといっても借金が100万円あり、こつこつ返済している私のことなので、あまり魚を購入することができなかったということもあるんですが(というか最近、競り負けているというのも大きい)。
ということで今日も以前我が家にやってきたが紹介できていなかった魚を。ゴンベ科・オキゴンベ属のミナミゴンベ。
ミナミゴンベは同じ属のオキゴンベによく似ていて、大きな暗色の斑点が体側にあるのが特徴である。頭部には斑点が少ないが、鰓蓋には大きな暗色斑があるのもミナミゴンベの特徴である。また眼の下の模様は横帯のようになるところも特徴的であるが、斑紋には変異があるため同定のキーとしては使いにくいのかもしれない。まあ実際、同属のほかの種も、横帯になっていることが多く使えないのだろう。
ミナミゴンベの尾鰭には目立つ斑紋はない。体側には薄い横帯がある。生息環境によりよく目立っているのだが、本個体は薄い。
この種によく似ているものにヒメゴンベという種がいる。私も最初にヒメゴンベを釣ったときにはミナミゴンベと誤同定したことがある。しかしヒメゴンベは普通頭部に斑点が多く、尾鰭にも赤い斑点がある。色彩的にはヒメゴンベのほうが美しいことも多いのだが、このヒメゴンベは分布域が極めて広く、バリエーションも多い。このあたりの種もしっかり分子分類とかやれば別種になるのかもしれないが。
ミナミゴンベの分布域を見ると、千葉県館山、伊豆半島、八丈島、屋久島、琉球列島...とあるが、伊豆半島と屋久島の間では得られていないとか、そんなことはなかろう。実際に「魚類写真資料データベース」においては和歌山県串本や高知県柏島でも撮影されている。この種は浅場~深場にいる種で水中写真はそこそこあるようなのだが、やはりダイビングスポットだと採集も難しいのであろう。
オキゴンベ属は8種が有効種として知られており、日本には従来オキゴンベ、ヒメゴンベ、サラサゴンベの4種が知られてきたが、近年になって日本からもう一種キリンゴンベというのが日本初記録種として報告されていて計5種となった。私はオキゴンベ、ヒメゴンベを釣ったことがある。サラサゴンベは沖縄ではそこそこ見るというのでチャンスはあるだろう。一方、キリンゴンベは日本では水深20~45mということなので、採集するのは難しいだろう。釣りであってもきついかもしれない。なおキリンゴンベの分布域は伊豆半島、伊豆大島、小笠原諸島、インドネシア、モーリシャス、マダガスカル、レユニオン、アリワルショールということで、この分布域はハタ科ハナダイ亜科のオシャレハナダイというのによく似ている。これも昔モーリシャスで見つかったのが伊豆諸島や西太平洋に出現したもののようである。そのうちエレガントフラッシャーやインディアンバタフライフィッシュが日本で見つかる可能性は...なさそうであるが。
ゴンベの仲間は食用になることはほとんどないのだが、今回のミナミゴンベは煮つけにして美味であった。今回のミナミゴンベは私が釣ったものではなく、小笠原諸島で山田良一さんにより釣られたもの。いつもありがとうございます。