今日はアジ科の魚をご紹介。スズキ目・アジ科・ムロアジ属のムロアジ。
ムロアジを入手したのは当然ながら初めてではない。この「魚のぶろぐ」でも過去に何度か紹介している・・・と思いきや丸魚を2009年に1回、料理を2008年に1回紹介しているだけであった。2018年以降は何度かムロアジを食しているのであるが、紹介できていなかったのだ。全長50cm近くになり、マアジタイプのアジでもとくに大型になる種、といってもよいであろう。
今回の個体は鮮やかな緑黄色、というか緑金色に光り輝いていて美しいものであった。グリーンの背中と、体側を走る黄色の縦線。これがムロアジの特徴といえる。同じような色彩をサバ科マグロ属のキハダもまとっているような気がするが、このような色だと、なにかメリットがあるのかもしれない。
ムロアジ属がマアジ属と大きく異なるのはこの特徴である。背鰭と臀鰭の後方に小離鰭があるが、これはマアジにはないのである。尾鰭が上葉と下葉で色彩が異なっているというのはほかのムロアジ属魚類と見分けるのに役に立つであろう。上葉は鮮やかな黄色で、下葉は赤褐色をしている。今回の個体は水揚げされてからある程度時間がたっていたためなのか、背鰭と臀鰭の軟条の多くの鰭膜が失われてしまっていた。
日本産ムロアジ属魚類は本種のほかにもモロ、クサヤモロ、インドマルアジ、マルアジ、アカアジ、キツネアカアジ、サクラアジ、オアカムロが知られている。このうちキツネアカアジとサクラアジは入手出来ていない。インドマルアジは入手自体しているものの、まだこのぶろぐでは紹介できていない。ムロアジはこれらの種類の中でもクサヤモロによく似ているが、体側に青いラインが入らないことや、尾鰭の色彩などによって容易に見分けることができるだろう。
モロの頭部背面
ムロアジの頭部背面
モロとムロアジは頭部背面を見るとわかりやすい。モロは頭部背面の鱗域が狭く、左右の眼を結ぶ線に鱗域は達しないが、このムロアジでは達するので見分けることができる。この特徴はムロアジのほかクサヤモロなどでも有している。
ムロアジ属=干物というのはもはや単なる固定された概念でしかない。このムロアジは刺身で美味しい魚なのだ。このほかたたきも美味しく食べられる。いずれにせよ脂がのったムロアジ属の魚はとてもうまい。今回のムロアジはマルホウ水産 石田拓治さんより。別の魚を購入したところ、おまけでこのムロアジも入れて頂いたのであった。ありがとうございました。