魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

アマシイラ

2018年02月14日 15時45分06秒 | 魚紹介

この間塩竃にいった目的はこれ。漁業を行い入港した船からこんな魚をいただきました。アマシイラという魚です。

トップの写真を見ただけではそうとは思えないかもしれないが、アマシイラはスズキ目ニザダイ亜目アマシイラ科の魚である。吻が短い、腹鰭は非常に小さく左右の棘が合わさり一本の棘になる、尾柄部には大きな隆起線がある、などの特徴がある。鰭は鮮やかな赤色で綺麗。

体表には鱗はあるが極めて小さい。また釣り上げたときは銀ピカであったのだが、冷凍するとこれらははがれてしまうようである。赤マンボウやタチウオ系と似ているかもしれない。なお、アマシイラ科は本種のみの1属1種が含まれる。

アマシイラは「日本産魚類検索 第三版」の中ではニザダイ亜目の中に含まれているが、ニザダイ亜目としては特異な生態をしている。本種は知られている限りニザダイ亜目の魚としては唯一の外洋性魚類で、小魚などを捕食していると考えられており、藻類や付着生物を食うものが多いニザダイの仲間とはずいぶんと異なった食性を有する魚といえる。本種は最大で2mにまでなり、これはニザダイ亜目の魚としては最大である。

古い図鑑ではサバやシイラ、カジキなどと同じサバ亜目に置かれていることがあった。近年はカジキの仲間はカジキ亜目としてサバの仲間から分離させたり、サバの仲間はオキスズキ、シマガツオ科、ヤエギス科、マルスズキ科、あるいはイボダイ亜目の魚とともに「ペラジア」というグループを形成するなど、分類は従来とは大きく変わってきているようだ。個人的な見解ではあるが、アマシイラはシイラと近い関係にあるのではないかとおもっている。というか、シイラもニザダイ亜目と近いところがあるように思えるのだ。背鰭や臀鰭の基底が長いことや腹鰭の形など、ニザダイ亜目のメンバーと微妙に似たところがある。また肉を切ったときの色彩などはカジキ亜目の魚、とくにメカジキあたりに似ている。故・阿部宗明博士の監修した「原色魚類大圖鑑」(北隆館)の中でもメカジキ科とマカジキ科の間に置かれているのはそのためだろうか。

写真を見るとどうしても怪しいものを包んでいるようにしか見えない。ちなみにこのアマシイラは重さが97㎏もあった。車から降ろすのも撮影のためにあげたりおろしたりするのも3人がかり。全長も1.6mを超えていた。

解体も普通の包丁でなくノコギリで。なんとか4時間かかって解体。次はこのアマシイラの食べ方についてもご紹介したい。

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塩竃へ

2018年02月10日 20時48分49秒 | 

月曜日には宮城県の塩竃まで行ってきました。宮城県訪問は初です。塩竃市は地理的に言えば東北地方の大都市である仙台市のちょっと上。写真からもわかるように入り組んだリアス式海岸が特徴的です。

最初は磐越道経由で行く予定でしたが、雪の影響でチェーン規制がかかっておりしかたなく常磐道経由。いわき―名取の間、とくに福島県の区間はどうしても対面通行なので渋滞しがちです。

到着した当時は晴れていたのですが帰宅する途中で細かい雪が降ってきて大変でした。しかしここでも新たな出会いがありました。ありがとうございます。

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リュウグウノツカイ

2018年02月03日 21時31分41秒 | 魚紹介

この間もまた面白い魚を購入した。アカマンボウ目・リュウグウノツカイ科・リュウグウノツカイ属・リュウグウノツカイ。

リュウグウノツカイ自体、触るのは8年ぶりくらいで久しぶり。前回は丸ごと1匹、ほぼ完全な状態で入手できたものの、今回は残念ながら尾部のほうが切れてしまっていた。この種はどうやら尾の部分を「自切」する方法により捕食者から逃れているようである。そのかわり鮮度はかなり良く、鰭も真っ赤で腹鰭も細長く残っていて感動。送っていただいた長谷川大樹さん、ありがとうございました。

口を伸ばしたところ

口は伸長させられるが、その伸ばし方はおなじアカマンボウ目のサケガシラなどとはちょっと違う印象を受ける。

胃内容物

食性は魚類や小型甲殻類、イカなどを捕食するようである。今回の個体は胃の中に大量のアミの仲間と思われる小型甲殻類が見られた。

過去にはこの「学界の珍種」を食したことがある。2009年に東シナ海、以西底曳網の漁師さんから頂いたものである。この顛末は以前にも記事にしているので、覚えている方も多いであろう。あのときのものは2m以上もある大型個体。今回は体が自切しており、体高も低い小型個体で、家庭でも捌きやすいサイズであった。以前入手したものはそのまま塩焼きにしたが肉が極めて水っぽいものであった。「東シナ海・黄海の魚類」では、「水分が多くて柔らかく、煮ても焼いても硬くならない」とあるが、まさしくそうであった。宇和島のぼろいアパートにある冷蔵庫で保管していたが、荒廃の二人に配り、なんとか消費できたという感じであった。

水っぽいリュウグウノツカイから水分を取るにはどうすればいいのか。それは干してしまえばいいのだ。とりあえず一夜干しして水分を抜いてみたが・・・まさかのペラペラに。とりあえず焼いてみることに。

実際に食べてみるがちょっと硬い。ただし食感などはタラの干物に似ている。味は悪くはなく食感はとてもよい。

体が銀色だが、焼いた跡の皮にも銀色がかすかに残っている。タチウオのものと同じようなものかとおもったが実際には違いそう。なお骨も鰭もまるごと食することができ、なかなか美味であった。

従来は5種ほどが有効種とされていたリュウグウノツカイ科であるが現在は2属3種が有効種とされ、リュウグウノツカイ属は大西洋や東太平洋に生息するRegalecus glesneと、日本近海を含むインドー太平洋にすむR.russeliiの2種が有効のようである。日本に生息するのは後者であり、リュウグウノツカイの学名はRegalecus russeliiである。

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