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高知県の防波堤から海を眺めていると、たいていは黒いか、青いか、しましま。この写真の中で写っている黒いのはミツボシクロスズメダイ、ナガサキスズメダイ、そしてメジナ属。しましまなのはオヤビッチャ、そして中央のテンジクスズメダイ。
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テンジクスズメダイはこのあたりで見られるオヤビッチャ属の中ではそこそこ見られる種である。ほか高知県に分布するオヤビッチャ属では、シチセンスズメダイとイソスズメダイは幼魚を確認したのみ、オヤビッチャとロクセンスズメダイは普通種で周年どこでも見られ、シマスズメダイはタイドプールや、磯の波打ち際にしか生息しない。ある程度水深がある防波堤では3番目に多くみられる種といえるだろう。
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ブロッホが本種をChaetodon bengalensisとして記載したものでタイプ産地はベンガル湾。英語名も学名も「ベンガル」の文字が入り、標準和名にも「テンジク」と入る。インドから西太平洋にかけて分布し、タイの内湾でも見られるということで内湾性が強いものと思われる。この個体も漁港の中で腐った海藻や死んだ魚などがたくさん底の方に見られる中、悠々とおよいていたものである。オヤビッチャやロクセンスズメダイと一緒に、釣り餌を追いかけていた。
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こちらは幼魚。幼魚は荒磯のタイドプールでも見られ、決して内湾オンリーに生息するというわけでないことを証明している。幼魚はこの防波堤では夏~秋にかけて毎年見ることができるが、成魚も見られる。ここはハタなど肉食魚も多いため、危険が迫ると左に開いた防波堤の隙間のような場所に逃げ込むのである。幼魚は関東でもよく見られ、四国や九州では普通種とされているが、琉球列島で獲れた、釣れたという話は聞いたことがない。「魚類写真資料データベース」では屋久島が今のところ南限らしい。だれか詳しくこのあたりを調べてほしいのだが。