魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ベンガルフエダイ

2016年04月30日 14時21分05秒 | 魚紹介

今年は年明けにもコメントしましたように、古い魚の写真もご紹介したいと思います。

スズキ目・フエダイ科・フエダイ属のベンガルフエダイ。

 


3兄弟。ベンガルフエダイ・ヨスジフエダイ・ロクセンフエダイ

しましま3兄弟。この仲間は日本に3種いるのだが、いずれも体側に4本以上の青い縦縞があるのが特徴だ。ロクセンフエダイではこの縦縞が5本あって、あとのヨスジフエダイと、このベンガルフエダイは4本なのである。

ベンガルフエダイとヨスジフエダイは極めてよく似ている。ヨスジフエダイとベンガルフエダイの簡単な見分け方は白っぽい(いずれも死後赤みを帯びる)腹部にある。この腹部に数本の点列があるのがヨスジフエダイ、ないのがベンガルフエダイとされるが、ヨスジフエダイであっても模様が出現しないことがまれにあるようなので注意が必要である。

次に背鰭の棘数。ヨスジフエダイでは10~11、ベンガルフエダイでは11~12であるが、ヨスジフエダイでは多くで10、ベンガルフエダイでは11となっている。またヨスジフエダイでは背鰭や尾鰭の外縁は暗色であることが多い。これらの特徴も合わせて同定するとよいと思われる。ヨスジフエダイの写真を使って比較したいところであるが、残念ながらヨスジフエダイのよい画像を持っていないのである。

ベンガルフエダイの分布域は広く、紅海、東アフリカなどのインド洋から西太平洋の熱帯域に産している。日本では八丈島以南で獲れているが、やはり屋久島や琉球列島で見られることが多いようだ。サンゴ礁域や浅い岩礁に生息するとされるが、今回の個体は鹿児島県種子島・屋久島方面で沖合底曳網漁業によって漁獲されたもの。意外と深い場所にも生息しているようである。

フエダイといえば宮崎の夜釣りで人気があり、「シブダイ」と呼ばれる魚のこと。これは極めて美味しいらしい。「らしい」というのは、ろくに食べたことがないから。塩焼き、刺身、汁物などなんでもいけるようだ。しかしフエダイの仲間で美味しいものはほかにも多数いる。センネンダイ、クロホシフエダイ、ヨコスジフエダイなど。もちろん、ベンガルフエダイだってそうだ。このベンガルフエダイは刺身で食べたが極めて美味しかった。

なお「ベンガルフエダイ」と呼ばれるものでも地域によりいくつかの変異があるよう。これにより日本のものがインド洋のものと異なる種とされれば、日本産種にベンガルフエダイの名前は使えなくなるかもしれない。ベンガルフエダイという種の標準和名はインド洋のアンダマン、もしくはサヤデマルハ産のものにつけられている名前だからである。

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ヒメヒイラギ

2016年04月28日 21時41分34秒 | 魚紹介

年のはじめに「今年は・・・(略)」と書きましたが、昔の魚の画像もちょこちょこ紹介していきたいと思います。

スズキ目ヒイラギ科イトヒキヒイラギ属のヒメヒイラギ。

ヒイラギ科もテンジクダイの仲間と同様に最近「属」が細かく分かれたグループ。本種はイトヒキヒイラギ属のメンバーとなり、この属は日本にはオキヒイラギ、イトヒキヒイラギ、そしてこのヒメヒイラギの3種が分布している。

2013年に三重県で獲れた個体

ヒメヒイラギは2009年に鹿児島県の定置網で漁獲されたのを送っていただいたのが初見だったと思う。オキヒイラギよりも極めて体が細長く変わったヒイラギだなと思ったものだ。その後は2010年の高知県以布利定置網、2013年に三重県の定置網でもこの種を見た。定置網ではよく見るが、釣りなどでは出会ったことがない。やや深場に生息する種類だろうか。かといって底曳網でもこの魚が獲れたのは見たことがない。オキヒイラギはたまに見るのだが。

イトヒキヒイラギやオキヒイラギとは体高が低いことによって簡単に見分けることができる。またイトヒキヒイラギは背鰭の第2棘が極めて長くのびることや背中にある斑紋がかなり細かいことでも区別することができる。この上の写真では背鰭の2棘がやや長くのびているように見えるが、イトヒキヒイラギはもっと長くのびる。また背中の斑紋も細かくなく、イトヒキヒイラギと見分けることができる。

オキヒイラギやヒイラギは食用となるが、このヒメヒイラギはやや小さく細身の体のためなのか、あまり食用とはなっていないようである。ただし以前鹿児島の定置網漁業で獲れたのをいただいたときには、ほかの魚の口腔内から本種と思われる個体が出てきたことがある。おそらく定置網に入っていてその魚に捕食されたものと思われるが、広い海で餌になっているのかはわからない。

分布域は石川県能登半島および相模湾~九州。国外ではインドー西太平洋の暖かい海域に生息する。イトヒキヒイラギはおもに沖縄島以南の琉球列島に生息し、国外ではインド—西太平洋域に生息する。オキヒイラギはヒメヒイラギよりは温帯をこのむようで、秋田県および茨城県から九州までの沿岸と朝鮮半島に分布している。

 

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アケビコノハ

2016年04月26日 19時34分11秒 | 昆虫・クモ

我が家にやってきたガ。

おそらく「アケビコノハ」ではないかと思われる。我が家の周辺には林や森、田んぼなどがあり、昆虫も色々な種類が見られそうです。

翅が本当に木の葉みたいで面白いです。

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シロギス

2016年04月25日 12時36分33秒 | 魚紹介

シロギスという魚がいる。うちのブログを見てくれる人にはもう説明する必要はなかろう。一般的に本州~九州にすむあの細長い魚だ。投げ釣りの対象となっているあの魚である。てんぷらで食べると美味しい、あの魚である。最近とある友達がブログを更新されていて、そこでキスの話が出てきていた。

キスはどの砂浜にもいると思われているが、そうではないのだ。シロギスは外海に面していたり、内湾の汽水の泥底だったり、昨年は神奈川県のタイドプールで本種の小さいのを見つけるなど、結構あちこちにいるのだが、アオギスは干潟のような場所にしか生息しないらしい。東京湾、伊勢湾、吉野川河口などにいたと聞くが、現在ではそれらの地域では幻となり、九州北東岸に少しいるのみと聞く。一部の地域では種苗生産を行い放流までされているが、それだけでこの珍しい魚を守ることはできない。生活基盤を脅かすような環境の開発をやめるのがこういう稀少な海産魚の保全の最も重要なことである。堆積物がたくさん海に流れてしまうと、環境の変化に弱い生き物は姿を消してしまう。

その中には餌となる生物もたくさん含まれているだろう。その餌生物も餌を食べられなければ死ぬ。そしてそのような餌を食しているキスも餌を食べられずに死ぬか、小型化してしまう。「最近魚が小さくなった」という声も漁師や「意識高い系」がよく言い、問題解決の矛先を乱獲に求めることがよくあるのだが、実際には陸域の環境破壊で海中に栄養が届かなくなり、プランクトンが減って魚が減っているということが強いのではなかろうか。そして「意識高い系」がやっているのは漁師への罵倒や中傷ではなかろうか。

シロギスはヒラメやコチの類、あるいはスズキなどの魚の餌である。もちろんヒトにとっても重要な餌である。そしてシロギスも大きくなると小魚を捕食したりあるいは甲殻類、小型の貝類を捕食するハンターである。もちろんキスだけではなく、ほかのすべての生物が食べたり、逆に食べられたりしている。

一度だけ尺を超えるキスに出会ったことがある。かなりでかいサイズだ。横に並ぶイカ、おそらくコウイカの仲間の何かだと思うけれど、種類は不明... それと大きさを比べてみても、そのでかさがわかるというものである。残念ながらこれは地曳網で採集されたものであり、自分で釣ったわけではない。これは2005年だから、今から11年ほど前のことである。これが獲れた場所は福岡県の玄界灘で、その場所では陸にソーラーパネルが設置されていたり、電車がなくなったりでかなり10年前と陸の様子は変わってしまった。海の中には大きな変異が起こっていないといいのだが。

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ヒラニザ

2016年04月24日 20時09分38秒 | 魚紹介

3日連続の「長崎春のハギ祭り」。最後は、スズキ目・ニザダイ科・クロハギ属のヒラニザをご紹介。このヒラニザも、ここ二日で紹介したように長崎で水揚げされた個体で、たくじーさん(闇の中に潜んで生きている方のようなので、本名や勤務先は伏せさせていただきます)より届いたもの。3日間楽しませていただき、ありがとうございました。

さて、ヒラニザは前にご紹介したゴマテングハギモドキおよびマサカリテングハギとは異なる亜科(Acanthurinae)に含まれる種類。この亜科にはクロハギやニセカンランハギなど、大きくなる食用種が含まれるほか、ナンヨウハギ、ニジハギ、キイロハギなど美しい色彩の魚が多数含まれており、観賞魚として人気があるものも多い。共通の特徴として尾柄に棘があること。これに刺されると痛い目を見る。死んだ個体でも要注意だ。私もニセカンランハギにスパッとやられたことがあるのだ。鱗の様子も、テングハギとはちょっと違う感じでしょ?

体には青い縦縞模様がある。サザナミハギと似ているが、体が丸みを帯びていてやや長いので区別可能。なお体側に白い横帯があるようにも見えるがこれは傷のような感じで、模様ではない。なおもっと詳しく見たい方は歯をみればよい。歯の形がブラシのような変わった形をしているのがサザナミハギ。ヒラニザの場合幅広い形をしている。サザナミハギは以前記事で歯の写真を掲載しているのでそれを見て頂ければと思う。5年も前にミトさんに送っていただいた写真だ。

顔つきがユニーク。ヒラニザの場合、眼の周りが黄色になっていて、なかなか美しい。ただし眼の周辺が黄色くなっているニザダイはほかにもニセカンランハギなど何種かいるため、同定のポイントには使いにくい。

テングハギの仲間(Nasinae)とは尾柄のようすのほかにも変わっているところがある。腹鰭だ。腹鰭は1棘5軟条であり、1棘3軟条のテングハギ属のものと区別できる。ただしクロハギ属と同じAcanthurinaeの一員であるナンヨウハギは1棘3軟条なので注意する必要がある。

今回のヒラニザはカルパッチョにして食べてみた。これは美味しい。ニザダイの仲間はやや臭みがあるといわれるが、ちゃんと処理したものの多くは臭みがなくおいしいものである。別にカルパッチョにしなくてもよかった。好みの問題。

ヒラニザは南アフリカのナタールから中央太平洋のマルケサス諸島、トゥアモトゥ諸島に至るインド—中央太平洋に分布する(ただし、ハワイ諸島やイースター島には生息していない)。もちろん日本にも見られ、琉球列島や伊豆-小笠原諸島で見られるほかに千葉県以南の太平洋岸で幼魚や若魚を見ることができる。サンゴ礁域や岩礁に群れで生息しているが、浅海だけでなく、水深100m前後のやや深い海でも採集されている。

沖縄では食用になっている。一方観賞魚としても販売されているが、ニザダイの仲間はいずれも大きくなり遊泳性も強いので大きな水槽でないとうまく飼育することができない。同様のことはほかのニザダイの仲間にも言える。少なくともこの仲間を飼育するなら120cm、欲をいえば150cmの水槽が欲しいところである。

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