頭と眼が大きいこの魚は、ウロコマツカサMyripristis botche Cuvier, 1829といいます。キンメダイ目・イットウダイ科・アカマツカサ属の魚で、アカマツカサやエビスダイと同じ仲間です。アカマツカサ属の魚は日本では15種もいますが、多くの種は見た目が似ているので同定が難しいのです。本種は側線有孔鱗数が30以下のグループに属しています。
高知県では本種によくにたナミマツカサMyripristis kochiensis Randall and Yamakawa, 1996というのがいますが、この魚とは胸鰭をめくるだけで区別することができます。しかしこの特徴は上にあるような、ただ魚を普通に撮影した写真からは判別しにくいこともありますので、もう一枚写真を撮る必要があります。
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ウロコマツカサは胸鰭腋部に小さな鱗がありません。
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ナミマツカサは胸鰭腋部に小さな鱗があります。
また、ウロコマツカサの方は遠くから見ますと体の赤色が薄くみえます。水中でみると、え、これがアカマツカサの仲間?と思えるくらい、白っぽいです。ナミマツカサは陸上でも水中でも赤いです。分布域は、ウロコマツカサが八丈島、和歌山県串本以南~沖縄県、海外ではインド・西太平洋に広くすみますが、ナミマツカサの方は日本特産で、八丈島から鹿児島県までの太平洋岸にのみすみます。
そしてこのウロコマツカサはでかい!20cmを超える大型の個体でした。
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●食する
イットウダイ科の魚は2亜科に分けられます。ウロコマツカサをふくむアカマツカサ属は、アカマツカサ亜科に含まれ、この中にはアカマツカサ属のほかにリュウキュウエビス属、ヤセエビス属、日本に産しないヤスリエビス属、そしてエビスダイ属が含まれます。エビスダイ属の魚の中には、食用魚として有名なエビスダイも含まれています。
アカマツカサ属の魚は美味なのですが、エビスダイ属のものほど大型にならないためか、あまり市場からはありがたがられないようです。しかしそれでも産地などではよく食されています。今回は私も初めて、アカマツカサ属の刺身を食することになりました。
たしかにエビスダイに近いので、肉の色もエビスダイのようです。そして鱗をそぐときも・・・。本当に大きくてかたいため、なかなかおろしにくいのです。そして味も美味です。脂が多く乗っていてほのかに甘いです。
このウロコマツカサは宿毛魚市の水揚げを見学していた際に欲しかったので落としてもらったのです。ありがとうございました。