3月に沖縄・石垣島へ行ったときに出会った魚。ブダイ科のイロブダイである。
イロブダイはその奇抜な色彩・斑点が目を引く魚だが、琉球列島ではふつうに見られる魚のようだ。成魚は全長50cmになり、最大80cmにまでなるという。
この種が有名なのは幼魚と成魚、成魚でも雌雄で色彩や模様が大きく変わるということだ。幼魚は白とオレンジ色のツートンカラーが特徴だが、雌の成魚は赤みを帯びた色彩で、成魚の雄はトップ写真のように極めてカラフルになる。
イロブダイの刺身。奥のほうにあるのはバラハタの刺身
イロブダイはこのように極めてカラフルな色彩をしていても食用になり、今回の個体は刺身で食したのだが美味であった。肝臓も大きいので食べたくなるが、ブダイ科の魚は肝臓が毒化しやすいようでアオブダイやナンヨウブダイで毒が検出されたことがある。下手に手を出すと命にかかわることがあるのだ。
なお、イロブダイは従来から学名が変更されている。従来はCetoscarus bicolorという学名が採用されてきたが、これは紅海のものにあてられ、インドー太平洋産のものの学名はCetoscarus ocellatusとなっているようだ。両種の違いを記した文献は残念ながら見つからなかったが、紅海のは下顎が白いようにみえる。ブダイ類は広域分布種とされていても、地域変異があるものが多いようだ。ハゲブダイも太平洋のものとインド洋のものは別種となっているし、オニハゲブダイも同様という。ヒブダイも日本近海にいるものと、紅海のものはちょっと違うような気がする。
この個体は石垣島の公設市場で購入したもの。前に石垣島を訪れたときにはこのイロブダイのとチョウチョウコショウダイ、ナミハタを購入したのだが、当時購入したイロブダイは雌であったため、緑色が美しい雄のイロブダイを購入したのは今回が初めてとなった。このほかにも何種かの魚を石垣島の公設市場で購入したが、それはまた今度ご紹介したいと思っている。