昨日は島根県のほうから面白い魚が届きました。ヌタウナギという魚です。
ヌタウナギの仲間は現生する脊椎動物の仲間としては最も原始的な生物であるということです。体から粘液をだし、体がウナギのように細長いため「ヌタウナギ」という標準和名なのですが、もちろんウナギの仲間とは綱レベルで異なる魚です。
普通の魚・・・ここでは名前についている「ウナギ」(種標準和名はニホンウナギ)に登場していただきましょう。普通の魚にはちゃんとした顎があります。
その一方でヌタウナギ。顎はいったいどこにあるのでしょう。写真からはわかりませんね。眼は退化しております。
ということで腹面から。実はこの仲間の口は裂溝状で顎がないのです。そして立派なひげがあります。写真の左のほうにある穴は口ではなく、外鼻孔と呼ばれるものです。
こちらは鰓孔。鰓孔はヌタウナギの仲間で大体6~8対あります。鰓孔は互いによく離れています。鰓孔は互いによく離れています。クロヌタウナギという、似た種類もいるのですが、この種類は鰓孔がたがいに接近するのが特徴。鰓孔よりも小さな穴は粘液孔で、ここから粘液を放出するのです。
ヌタウナギは従来「メクラウナギ科」とされてきましたが、日本魚類学会が差別的な言葉を含む標準和名を改名する、としており、現在の科の和名はヌタウナギ科となっております。ヌタウナギ科という名称自体は古くからあり、古くはEptatretidaeの科の標準和名として使用されておりましたが、現在はこの綱(ヌタウナギ綱・ヌタウナギ目)の生き物はすべてMyxinidaeに含まれているようで、2科に分けられてはいません。Eptatretidaeは1属で、外鰓孔は5対前後、であるのが特徴だそうです。
この奇妙な生物も食用となります。とくに日本海側や駿河湾では本種を対象にした漁業がおこなわれているほどです。肉は焼いて食べられ、皮は革製品の材料になります。しかしながら定置網や刺網の魚を食いあらすとか、粘液でよごれるとか、漁業者にはあまり歓迎されないというところもあるようです。