1月も終わりますね。今年初めての「今日の魚」
クロホシイシモチ Apogon notatus (Houttuyn)を堪能あれ。
●名前の由来
漢字で書くと「黒星石持」になります。黒星というのは、頭部にある黒色紋か、あるいは尾柄部の小黒点でしょうが、イシモチとは何か。この魚は魚類としては大きな「耳石」を持っており、それにちなみます。ちなみに「イシモチ」というのはシログチと呼ばれるニベ科の魚のかつての和名です。これも大きな耳石にちなむものです。
●近縁種
本種によく似た魚に「ネンブツダイ」がいます。このネンブツダイは本種によく似ていますが頭部に黒色紋がなく、眼を通る太い帯があり、腹部が薄らと黄色くなるのが特徴です。
ネンブツダイ
この仲間はいずれも口内で卵を保護する、所謂「マウスブリーダー」です。似たような習性を取るのはほかにアロワナ、アフリカン・シクリッド、アゴアマダイ科、などです。
●生態
この種はオオスジイシモチに近いものですが、オオスジイシモチとは異なり、常に大群でいます。生息場所も多様で、岩礁、防波堤、砂底の中の沈み根、藻場、やや深いトゲトサカの森、サンゴ礁・・・。分布も広く、本州沿岸からサンゴ海にまで及びます。
餌は甲殻類、ゴカイ類、小魚など多種多様で、オキアミ、活きエビ、ヤドカリ、ゴカイ、アオイソメ、キビナゴ、カタクチイワシなど様々な餌に食いついてきます。オオスジイシモチは夜間に多いですが、本種は昼でも夜でも餌をとります。
●利用
食用としてはあまり利用されません。ネンブツダイやオオスジイシモチに比べると味は劣ります。アオリイカの餌に使われることもあるようです。