魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

2種類のサンゴ

2016年05月29日 23時39分32秒 | 魚介類飼育(海水)

先週の日曜日(5月22日)にサンゴを購入した。思えば今年初めてのサンゴ購入となる。前回の「今の水槽」のところにうつっているので、気づいている方もいると思われるのだが。

おそらくオオトゲキクメイシ系のサンゴ。カクオオトゲとはちがうかもしれない。ポリプがわさわさ出ていて、状態がよさそうだ。じつはこのオオトゲキクメイシ径のサンゴ、掌より少し大きめの岩に固着しているのだが、ほかにもいろいろついている。

赤黒い石灰藻や、小さなハナヅタと思われるサンゴ、そしてゴカイの仲間。我が家ではハナヅタの仲間がなぜかあまり上手に育たない。今回はうまく育てられるようにしたい。植物プランクトンを与えれば少しは成長するかな・・・??

魚もそのときに1匹購入した。アケボノハゼ。ご存知であろう遊泳性ハゼの人気種である。この属の魚は4種いていずれも飼育したことがあるが、4種のなかで一番好きなのはこの種かもしれない。色が紫色できれいだし、ハタタテハゼよりもやや強めの性格で混泳水槽でも飼いやすいように思う。もっとも、混泳水槽の住人で一番強いのがカクレクマノミであるのだが。

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スジギンポ属2種

2016年05月25日 16時59分48秒 | 魚紹介

 

前回このぶろぐでご紹介したイワサキスズメダイを採集したのは礁湖の中というよりも沖海に面した潮だまりである。このような潮だまりは引き潮のときにのみできてその外側は深くなっている。採集はもちろん干潮の時に行うのであるが、潮が満ちてしまうと帰れなくなるおそれがあるので採集には十分な注意が必要な場所である。地元の人もよく釣りをされていて、アイゴやブダイなどの大物が釣れたりするよう。

潮だまりにはたくさんの藻類やミドリイシなど造礁サンゴの仲間がおり、その合間や藻の中に魚が潜んでいることが多い。潮だまりの中にある大きなライブロック風の岩の下にはスズメダイや小型ハゼの仲間(多くはナンヨウミドリハゼ)、ヘビギンポ類などがひそみ、生えている藻の中にはたくさんのイソギンポ類が生息している。多くはタネギンポやタマギンポであるが、ニセカエルウオなども見られる。

イワサキスズメダイを採集した場所の近くで網を入れてみると、こんなのが採集出来た。一度に3匹も網に入ったのだが、そのうち1匹は体側の模様からスジギンポ、と思われた。しかし帰ってから確認したところ、体側の斑紋がスジギンポといえたのはこの1匹だけで、もう1匹は別種であった。もう1匹は飛び出してしまった。

スジギンポによく似たケショウギンポという種である。

スジギンポの体側の模様

ケショウギンポの体側の模様

よく見るとこのように模様が大きく異なった2種であるが、自然下では本当によく似ている。見分け方としてはまず体側の斑紋。スジギンポでは体側に小さな暗色斑が密集して模様をつくるが、ケショウギンポではそうはならず、ふたつの小斑がひとつの斑紋を作っている。

スジギンポの下顎の模様

ケショウギンポの下顎の模様

魚類検索では触れられていないが、下顎腹面の模様も異なっている。下顎腹の模様はスジギンポでは灰色っぽいが、ケショウギンポでは橙色で縁どられている。ただしこの橙色の縁取りは不規則的らしいので検索図鑑には掲載されていないのだろうと思われる。また尾鰭の斑紋はスジギンポでは細かく多数あるのに対し、ケショウギンポでは少ないように見える。もっともこれが同定形質として使えるかどうかは?マークがつくが。

なおスジギンポとケショウギンポでは、ケショウギンポのほうが若干大きくなり、スジギンポは体長8cmほどなのに対し、ケショウギンポは10cmほどになるようだ。英名ではスジギンポはReef margin blenny と呼ばれ、確かに浅いリーフの縁のような場所にいた。一方ケショウギンポはTattoo-chin rockskipperということで、これは頭部腹面の模様をタトゥーに見立てたものだろうと思われる。blennyはギンポの仲間の総称で、イソギンポ科の魚ではないもの、たとえばバーナクルブレニー、ハンコックブレニー、セイルフィンブレニー(いずれもコケギンポ科)などにも使用されている英名である。一方rockskipperはイソギンポ科のうちとくに磯に住むカエルウオ族の魚につけられることが多いよう。カエルウオ、という標準和名があるがFrogfishという英語名は一般的にはカエルアンコウ類、一部のガマアンコウ類を指す。

 

スジギンポもケショウギンポも、どちらもスジギンポ属の魚である。この仲間は7種が日本に生息しているが、琉球列島ではおそらくイレズミスジギンポとホシギンポ以外の種は採集できるだろう。イレズミスジギンポは中央太平洋の熱帯域にすみ、日本では南鳥島にしかいないため採集できない。ホシギンポは沖縄島にもいるとされるが、この種は温帯性で新潟県から九州までの日本海沿岸、および神奈川県三浦半島以南の太平洋岸、まれに瀬戸内海で見られるが、熊本県の天草でも採集したことがある。ほかにアオモンギンポという種も採集・飼育したことがある。アオモンギンポは体側に円形の緑色斑があるので、この属のほかの種と区別できる。世界でこの属は25種ほどが知られており、日本近海、インドー太平洋の広い範囲に分布し、ほかの多くのインドー太平洋産カエルウオ族魚類が進出していない北米西海岸、北米東海岸(つまり西大西洋)、アフリカ西海岸(つまり東大西洋!)に分布するような種も知られている。なおスジギンポの分布は八丈島、駿河湾、和歌山県、高知県、屋久島、琉球列島、小笠原諸島。海外ではインドー中央太平洋(ただしハワイ諸島にはいない)。ケショウギンポはスジギンポよりやや分布域は狭いらしく、八丈島、長崎県、屋久島、硫黄島、琉球列島、小笠原諸島、台湾、マリアナ諸島、サモア諸島に分布しているようである。

残念ながら今回採集した2個体は弱って死んでしまった。原因は不明だが、ナメラハゼとヘビギンポが病気を持っていた可能性もあり、それがうつってしまったのかもしれない。採集は楽しいのだが、飼育できず死んでしまうのは悲しい。スジギンポやケショウギンポの飼育方法は不明であるが、同属のアオモンギンポはとても丈夫で数年間飼育できた。餌は藻類食魚用の配合飼料を中心に与えていて、コケは少ししか食べてくれない。運搬に注意するのと、飛び出し対策のためにフタをしっかりすれば飼育は難しくないと思われる

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イワサキスズメダイ

2016年05月24日 12時53分54秒 | 魚紹介

喜界島の潮だまりで採集したスズメダイの一種、イワサキスズメダイ。

スズメダイの仲間は青や黄色が派手できれいなものが多いが、このイワサキスズメダイは派手ではないものの灰色と薄い緑色という2色が美しいスズメダイの仲間。このような色彩は全身が青いルリスズメダイや青と黄色の2色に分けられているレモンスズメダイが見られる喜界島ではあまり目立たないが、幼魚はもっと青みが強いらしい。

このスズメダイの魅力は色彩のほかにもうひとつ。「顔」である。イワサキスズメダイは眼の上に黒い横帯が入り、まるで「ネコの目」なのだ。色彩だけならもっときれいなスズメダイがいるが、こんなにかわいいスズメダイはほかにいないだろう。

分布域は広く、アフリカの東海岸からハワイ諸島にまで分布している。ただしマルケサス諸島やイースター島には生息していない模様。日本においては琉球列島や小笠原諸島で見られる。八丈島や高知県にも生息しているらしいが、まだ見たことはない。

数は少ないと思ったが書籍「与論島の魚類」によれば与論島では数が多くふつうに見られるらしい。少なく感じられる理由は生息地にあるのかもしれない。イワサキスズメダイの生息地は礁湖の中というよりも波が強く当たるサンゴ礁域のごく浅いタイドプールのような場所である。このような場所ではスズメダイの仲間に限らずイソギンポの仲間も、礁湖の中のものとは別の種類が採集できた。これについてはまた次回書くとする。イソギンポの仲間と同様に自然界では基本的に藻類を捕食しているようだが、水槽内では配合飼料もよく食べる。

イワサキスズメダイはイシガキスズメダイ属というグループのスズメダイ科魚類である。インド洋から中央太平洋にかけて分布するグループで、10種類が知られている。そのうち日本産は6種。その中ではハクセンスズメダイが最も一般的に知られているかもしれない。茶褐色の体に太い白色横帯があるスズメダイだ。ハクセンスズメダイはこのぶろぐをはじめたころにすこし書いた。千葉県~宮崎県までの太平洋岸から琉球列島、小笠原諸島と広い範囲に生息する種。喜界島では幼魚をよく見かける。ルリホシスズメダイも喜界島で釣れた個体の写真を見せてもらったことがある。

後はルリメイシガキスズメダイ、イシガキスズメダイ、フェニックススズメダイの3種でルリメイシガキスズメダイをのぞき浅いタイドプールで見られるということなので、これらの魚も採集してみたいところである。

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シロサンゴヤドカリ

2016年05月23日 16時00分05秒 | 魚介類飼育(海水)

喜界島からいかして持ち帰ってきたヤドカリ。今回持ち帰ってきたヤドカリは多くがシロサンゴヤドカリという種であった。脚に白と黒の帯が入る。派手さはないものの、見ていてとてもきれいな種。サンゴヤドカリの仲間で、観賞用として人気のあるユビワサンゴヤドカリなどと同属の種である。

不思議なことに喜界島ではシロサンゴヤドカリが多くいるポイントでは本当にシロサンゴヤドカリしか見られない。クリイロサンゴヤドカリがいるポイントではクリイロサンゴヤドカリのみ、スベスベサンゴヤドカリがいるところではスベスベサンゴヤドカリと多少のヨコバサミ類のみ。別の島ではユビワサンゴヤドカリとほかの種が同時に獲れたりしたこともあったのだが。

シロサンゴヤドカリのすみかはこんな場所。喜界島なら多くの海岸線で見られるような光景。すみかはごく浅いタイドプール。こういう場所では魚はあまり見られない。

しかしこの場所にもたくさんいて、小ぶりなものやきれいな貝殻にはいっているのを数個体採集した。

シロサンゴヤドカリは5年前に喜界島で採集している。この時もたしか今回採集した場所と同じ場所で採集したように思う。サンゴヤドカリの仲間は意外にもカラフルで、熱帯性なので高い水温でも飼育できるし、年単位の飼育も可能なのでお気に入りのヤドカリである。

最近では2年前に八丈島で小さいのを採集している。これは水深10㎝もないような小さなタイドプールにひそんでいた、正体不明の小さな個体を水槽で育てたもの。いまではかなり大きくなった。1枚目の写真でもっとも大きな個体がそれである。

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ナメラハゼ

2016年05月22日 11時29分26秒 | 魚紹介

ナメラハゼはスズキ目・ハゼ科・オキナワハゼ属の魚である。オキナワハゼ属のハゼは種標準和名がついているものが10種おり、そのほかの複数の「オキナワハゼ属の一種」というものがいる、つまりこれからもまだ種類が増える可能性があるグループなのだ。

その生息場所は多くの種類がサンゴ礁域の岩の下であり、ナメラハゼもそのような場所に生息している。ただし、ナメラハゼの場合は、ほかのオキナワハゼ属魚類よりも生息水深が極めて浅く、タイドプールの中はもちろんのこと潮がひくと干上がってしまうような場所でも本種を見ることができる。

体色は灰褐色というか変な色。採集した時は灰褐色で、背中の斑紋がはっきり見えていたのだが、水槽に入れると一様に茶色くなり、背中の斑紋がわかりにくくなった。尾鰭の黒い斑紋は生時も死後も見られる。

頭部には褐色の放射状線が入っている。黒い線は孔器に沿って入っているように見える。

今回採集してきたが、ナメラハゼはあまり飼育しやすいハゼとはいえない。きわめておとなしい性格であり、水槽で飼育していてもあまり餌を食べなかった。おとなしい魚と一緒に飼育するのがよいだろう。以前に家の前の泥底域が青潮により酸欠になった際、ふわーっと水面に浮かんできた、ナメラハゼの近縁種タネハゼを採集し飼育していたが、この魚は餌付きがよくて長生きした。もしかしたらこの仲間は輸送にも弱いのかもしれない。この写真の個体は水槽に入れて3日後に死んでしまった。

こちらは2011年に採集してきた個体。この個体は外掛け式の隔離ケース「サテライト」で飼育していたが、あまり長生きしなかった。サテライトは便利ではあるのだが、結構維持が難しい。小さな貝が穴に入るだけで水槽に酸素がいきわたらなくなってしまう。

分布域は屋久島、種子島、琉球列島。海外ではベトナムからマーシャル諸島までの海域で本種を見ることができる。ただし本種の学名および英語名(Okinawa flap-headed goby)には「Okinawa」の文字が入る。タイプ標本も沖縄から得られている。まさしく沖縄のハゼなのだ。

喜界島でも潮だまりの浅瀬に本種を見ることができる。しかしながら同所的に生息するクモハゼと比べると数は極めて少ない。また喜界島ではこれまでにオキナワハゼ属の魚はこの種しか見たことがない。

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