今日で5月もおしまい。また昨日はぶろぐ復活1周年でした。
カジカ科の魚は日本に90種近くもいるのだが、そのうちのほとんどが北海道から東北地方に生息し、関東沿岸では少ない。しかし少ないといっても、何種類かは毎年採集することができる。写真のキヌカジカも毎年この時期に関東の磯に出現、海藻がある場所で見られるのである。
キヌカジカはカジカ科サラサカジカ属の魚である。サラサカジカ属の魚は世界で2種類からなり、いずれも日本に分布している。しかし、近縁種サラサカジカとの見分けがやや難しい。
従来は、キヌカジカの第1背鰭と第2背鰭は鰭膜で連続しない、サラサカジカでは第1背鰭と第2背鰭は鰭膜で連続する、というのが見分け方とされていた、しかし個体によっては連続しているか否かがわかりにくいこともある。そのため第2背鰭や臀鰭の軟条数を計測してみるのがよいだろう。キヌカジカの第2背鰭は15~17軟条、臀鰭は13~15軟条。一方サラサカジカでは第2背鰭18~20軟条、臀鰭17~18軟条と、いずれもサラサカジカのほうが若干数が多い。
このほか前鰓蓋骨最上棘が広く2叉するのがキヌカジカ、前鰓蓋骨最上棘が狭く2叉する、もしくは単一形なのがサラサカジカ、という特徴もあるが、生きている個体では見るのが難しい。この個体は以前千葉県で採集したキヌカジカ。広くV字になっているが、サラサカジカはこれが狭いのが特徴である。
キヌカジカの分布域は北海道南部~九州北西部の日本海沿岸、北海道~紀伊半島までの太平洋岸、愛媛県。海外では朝鮮半島、済州島、鬱陵島。サラサカジカの分布域は北海道~九州西岸までの日本海岸、青森県~相模湾までの太平洋岸、瀬戸内海。海外では朝鮮半島までと、いずれの種も比較的広域に分布する種類である。しかし一年中見られるというわけではなく、盛夏に海藻が減退しだすといつのまにか浅瀬から姿を消してしまう。この間このぶろぐでご紹介したタカノハダイよりも海藻に依存しているといえるか、高水温に弱いといえる。実際に高水温は苦手で、水温25℃くらいの環境では餌を食わない。