魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

スミクイウオ

2021年09月27日 12時34分20秒 | 魚紹介

昨日はバケスミクイウオをご紹介したので、本家スミクイウオも久しぶりにご紹介。スミクイウオはスミクイウオ属で、この間紹介したヒメスミクイウオ属も従来はこの科のなかに入れられていた。科はホタルジャコ科、もしくは独立させたスミクイウオ科。ホタルジャコ科の多くの魚と同様小型な魚で全長20cmくらいである。本来は一様に黒っぽい体をしているのであるが、この個体は鱗がはげてしまっているのでこのような白っぽい体である。

前回の記事でも全く同じ画像をご紹介したが、腹鰭棘の前縁に小さな鋸歯状にならず、ヒメスミクイウオ属と見分けることができる。臀鰭棘は2本で、これもスミクイウオの特徴であり、ヒメスミクイウオ属も臀鰭棘が2本のものがほとんどであるが、昨日紹介したバケスミクイウオという例外な種もいる。なお、スミクイウオ属は世界で2種類が知られ、東アフリカからハワイ諸島に分布する本種と、西大西洋から東大西洋に分布するSynagrops bellus (Goode and Bean, 1896)の2種である。

このスミクイウオは現地(戸田)では「むつ」と称されているようだ。水揚げの時に立ち会っていた地元のおばあちゃんがそう呼んでいた。小さい魚なのであまり1尾1尾に値段がつけにくい。しかし実際に塩焼きにしたら非常に美味しい魚である。スミクイウオを食べたのは11年ぶりくらいであるが、やっぱり美味しい魚だと感じた。

今回のスミクイウオも沼津市戸田の青山沙織さん「ヘンテコ深海魚便」より。いつもありがとうございます

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バケスミクイウオ

2021年09月26日 23時57分14秒 | 魚紹介

こんばんは。気が付いたらもう9月もおしまい。お仕事本当に忙しい。けどこの仕事はうまくやれていてうれしい。この間青山沙織さんからの「ヘンテコ深海魚便」。メインは前述のハナグロフサアンコウであったのだが、こんな魚も来ていた。ホタルジャコ科・ヒメスミクイウオ属のバケスミクイウオ。

バケスミクイウオは前回のヘンテコ深海魚便にも入っていたのだが、今回も入っていた。しかしこの種はなかなか手に入らなかった珍しい魚である。それが今年は2匹目。おそらくムツなどと混同されていたのだろう。戸田の高齢女性は水揚げされたスミクイウオ類を「むつ」と呼んでいた。

バケスミクイウオの特徴はまずノコギリのような腹鰭棘。これはヒメスミクイウオ属の特徴である。スミクイウオではこのような棘を有していない。ちなみに(分類学的な意味で)スミクイウオ属とヒメスミクイウオ属が分離されたのは近年のこと。検索図鑑第三版ではまだヒメスミクイウオや本種はスミクイウオ属のなかに含まれていた。また科もスミクイウオ属やヒメスミクイウオ属をホタルジャコ科から独立させる意見があり、そうなった場合はスミクイウオ科・ヒメスミクイウオ属となる。

こちらはスミクイウオの腹鰭。ヒメスミクイウオ属では強い鋸歯状になるが、スミクイウオではそうならない。

またヒメスミクイウオ属ではほとんどの種類において臀鰭棘が2棘なのだが、バケスミクイウオだけは3棘である。ただし小さいうちは2棘にしか見えないこともあるようだ。この個体は3棘あるのを確認することができた。

前回はバケスミクイウオを展鰭してフォルマリンにぶっこんだが、今回はややぼろかったということもあり食してみた。調理法はハナグロフサアンコウと同様に唐揚げ。これはかなり美味しい。多く漁獲されれば人気もでるだろう。しかしヘンテコ深海魚の写真もどんどん集めて、将来はヘンテコ深海魚便の魚写真を使用して図鑑を作ってみたいところだ。

青山沙織さん、いつもありがとうございます!

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ハナグロフサアンコウ

2021年09月14日 10時48分47秒 | 魚紹介

先日久しぶりにはじめて食する魚をいただいた。ハナグロフサアンコウという魚である。ハナグロフサアンコウはアンコウ目フサアンコウ科・フサアンコウ属の深海魚である。フサアンコウ科は日本に4種類もいるのだが、残念ながら私はミドリフサアンコウ以外はこれまで食してきたどころか、入手したこともなかった。のこりはホンフサアンコウとアカフウセンなのだが、アカフウセンは体に模様がほとんどない珍種、ホンフサアンコウはたまに水揚げがあるもののなかなか縁のない種類である。

体には黄色っぽいまだら模様があり、アカフウセンと見分けられるが、ミドリフサアンコウと見分けるのであれば、誘引突起と眼の位置関係に注目したい。ハナグロフサアンコウの誘引突起のあるくぼみの後端は眼の前縁を結ぶ線に達しない。一方でミドリフサアンコウやホンフサアンコウでがくぼみ後端が眼の前縁を結ぶ線に達する(または超える)。下にミドリフサアンコウの写真を掲載しておく。これにより同定しやすくなるだろう。

ミドリフサアンコウ

フサアンコウの仲間は意外といろいろな用途に使うことができる。今回はアオメエソ(通称メヒカリ)も大量にとれたのでほかの魚といっしょに唐揚げに。アオメエソは唐揚げにされることがほとんど(一部刺身などもある)だが。フサアンコウの仲間は唐揚げ、鍋物、汁物、干し物などいろいろな用途に使用できるのだ。基本的に沖合底曳網などで深い海から漁獲され市場にも出ることがあるので、ぜひとも食べてみてほしい魚である。

なお以前入手したミドリフサアンコウはウミヘビ科の幼魚を捕食していたので、今回も探してみたが、残念ながら今回は胃の中には何も入っていなかった。今回のハナグロフサアンコウは「ヘンテコ深海魚便」の青山沙織さんより。ありがとうございました。

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キンメヒメダイ

2021年09月11日 19時54分45秒 | 魚紹介

つい最近に鹿児島のタキベラを購入したのだが、このほかにも別の珍しい魚を購入していた。それがこのキンメヒメダイである。キンメヒメダイを食するのはこれが初めてではない。2014年にも1回食べているが、今回7年ぶりである。前回は長崎産であったが、今回は鹿児島県産。

キンメヒメダイはオオヒメに似ているが、尾鰭の色や頭部背面の模様などで見分けられる。これについては上記のリンクにアップしている。眼が明らかに黄色いが、もともと黄色であり、鮮度が落ちているものではない。ただこの個体は深海から釣りあげられ、胃が反転してしまっている。以前胃内容物からウミヘビの仲間が出てきたということもあったようだが、これだと確認することはできないのが残念。

お刺身。今回はキンメヒメダイを2匹注文したが、これは1匹と半分くらい。相変わらずフエダイ科の魚は美味しい。脂も程よく乗っている。このほか写真には撮っていないが、中骨も煮て食べそこそこ美味しい。また1個体は卵を持っており、この卵も煮て食べた。

今回は鹿児島 田中水産の田中積さんより。いつもありがとうございます。

 

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タキベラ

2021年09月08日 21時45分59秒 | 魚紹介

この間ソウシハギが届いたお話をしましたが、実は鹿児島からも最近素敵な魚が届いていたのでした。ベラ科・タキベラ亜科・タキベラ属のタキベラ。

タキベラ属には小型のかわいいフタホシキツネベラから、果てはメーター近くなるオマーンホグフィッシュまでさまざま。最近はコブダイ属をタキベラ属の亜属とする意見もあるらしく、そうなると47種が知られる極めて大きなグループとなる。日本で食用とされるものも多く、キツネベラやキツネダイ、ヒレグロベラ、アカホシキツネベラなどは市場でも見る。また上記の意見を採用するならコブダイもこの属の中に含まれる。色がきれいなものも多く、マリンアクアリストにお馴染みのものもいる。ただ深場の種は高水温には注意が必要だろう。

タキベラの体側の模様

キツネベラの体側の模様

タキベラの特徴は赤い体、頭部の黄色い斑点、黄色っぽい斑紋があるが、成魚では不明瞭になることがある。キツネベラとは背鰭の色彩や体側後方の黒色斑などで見分けるようにしたいが、キツネベラ老成魚ではこの特徴も目立たないことがあるので注意が必要。なお魚類検索第三版では胸鰭の先端が黒いことも特徴に挙げられるが不明瞭なこともあるのでこの点も注意が必要だが、ある程度この仲間を見慣れている人なら間違えにくいだろう(老成魚はのぞく)。日本では静岡県以南で見られるが、九州以北では幼魚が多い。海外ではオーストラリアから中央太平洋のサンゴ礁にに見られる。南アフリカやモザンビークなどにはよく似たゴールドサドルホグフィッシュというのが知られている。タキベラはサンゴ礁域に生息し、大型の甲殻類や小魚、軟体動物などを捕食している。そのためヒメジなどの泳がせ釣りで釣れるようだ。ハタ類のほうが好まれるのかもしれないが、引きはつよいようで、よいゲームフィッシュといえるかもしれない。

昔々喜界島オフ会で本種が釣れたので食べさせてもらったが、それ以来ということになる。あれは2010年だったから、11年ぶりということになるだろうか。この間のソウシハギはうまみが少なかったが、このタキベラはうまみにあふれていた。非常に美味しい。刺身のほか煮つけにもしたが、これも美味しかった。

今回のタキベラは鹿児島県の田中水産 田中積さんより。いつもありがとうございます。

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