もう3月の終わりということで、春!のはずですがまだまだ寒いです。
冬美味しい魚といえばやはりカレイの仲間。今回はスーパーマーケットで黒カレイというのを購入。標準和名で「クロガレイ」というのがおり、それと思い購入したもの。
カレイの仲間は北半球の冷たい海に多く生息する魚で、日本では北海道~東北地方までの太平洋岸、日本海の広域に分布しています。北海道には種類が多く、日本に産するほぼすべての種類が見られます。今回購入した種類もやはり北海道産。カレイ科魚類の同定は有眼側の体の特徴や、頭部の特徴、顎歯の特徴などにより区別されるものが多いので、これらの特徴を記録しておくとよいでしょう。また無眼側の様子が同定形質になるようなものもおり、それらも記録しておくと同定しやすいのです。
この種類は有眼側にいぼ状の突起がなく、口は小さく歯の発達もあまりよくない、さらに側線が湾曲する、有眼側に鱗がある、などの特徴からツノガレイ属のものになります。日本で広く受け入れられている考え方では、マコガレイ、マガレイ、スナガレイ、トウガレイなどの種類がこの属に含まれますが、欧米では分類についてはやや異なっています。
この個体は有眼側、無眼側に黒色の帯があり、尾鰭には斑紋がなく、クロガレイかクロガシラガレイに同定されるものであることがわかりました。しかしこの2種はよく似ているものです。まず尾鰭ですがこの個体の尾鰭は白く縁どられないためクロガレイの特徴をもっているといえます。一方で側線の様子は「低い」か、「低くない」ということなのですが、やはり言葉だけではわかりにくいです。どこの部位よりも低いとか、何パーセント、とか書いていただければまだわかりやすかったかもしれませんが。ただ魚類検索での図示ではクロガシラガレイのほうが近いでしょうか。
もう一つクロガシラガレイの特徴としては、鰓蓋下部に皮弁を有することがあげられます。これを探してみると...。ありました。上の写真、灰色の丸で囲んだ部位です。北の魚、特に沿岸の浅い海に生息しているカレイの仲間は、カジカの仲間やアイナメの仲間同様かなり苦手なものです。
ということでFacebookにこの写真を掲載したら、さっそくクロガシラガレイという回答をいただきました。ありがとうございました。ちなみに今回のカレイは写真撮影の後唐揚げでいただきました。クロガシラガレイはマコガレイに近いようで種の異同については要検討ともいわれております。マコガレイはかなり美味なカレイともいわれており、本種もかなり美味なものでした。