魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

サンゴイワシ

2016年02月22日 17時47分33秒 | 魚紹介

ちょっと5日ほど更新の間隔があいてしまいました。すみません。この魚はサンゴイワシという魚です。サンゴイワシは、ハダカイワシ目ソトオリイワシ科の魚です。

こちらの写真はトップ画像の個体とはまた別の個体。鰓蓋のところは光を当てると鮮やかなブルーになりとても美しいです。腹部にはたくさんの発光器があり、まさに深海魚らしい魅力にあふれる魚といえます。発光器が腹部にずらっと数列に並ぶので、ハダカイワシの仲間と区別できます。餌は小型の甲殻類や、ハダカイワシの仲間も食っています(実際に消化された状態で出てきた)。

ハダカイワシの仲間は俗に「やけど」と呼ばれ、干物にして販売されることがあります。ハダカイワシに近縁なこのサンゴイワシも同様に干物にして食べてみました。

頭を落として、一夜干しで焼いて食べていました。やわらかく脂もよくのり、かなり美味しいです。骨も食べられます。干さないで焼いたものはものすごく脂が強くて食べにくい感じもしました。このサンゴイワシは底曳網漁業を行っている地域では比較的よく獲れる魚なので、スーパーなどで販売されている可能性もなくはないです。見かけたらぜひ食べてみてほしい魚です。

おまけ。

寄生性のカイアシに寄生されてチョウチンアンコウみたいになったサンゴイワシさん。関係ないけど「365日の紙飛行機」って、いい曲ですよね。AKBですが。

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スミツキヨウジ

2016年02月17日 01時47分00秒 | 魚紹介

以前送っていただいた魚。スミツキヨウジという大きなヨウジウオの仲間。

沖合底曳網は水深100~300mをひくことが多く、本種も水深100mまでの海底に生息するとされている。わが国では高知県の柏島や沖ノ島に生息することは知られているが、鹿児島県の新聞社「南日本新聞社」のサイト「何でも質問隊」というコーナー(2005年3月12日本誌掲載分)のなかで、本種と思われる魚の写真が掲載されている。この標本も鹿児島県産である。

普通のヨウジウオの仲間は体がもっと細長いが、このスミツキヨウジは体が太い。全長も40cmほどになる巨大なヨウジウオだ。スミツキヨウジの特徴は尾部にある。尾鰭がなく、タツノオトシゴの仲間のように尾部自体が何かに巻きつくことができる形状になっている。実際にこの種はタツノオトシゴに近いらしい(タツノオトシゴ亜科)。

スミツキヨウジ属は5種が知られているが、その多くはオーストラリアや、ニュージーランド近海に分布している。本種はこの仲間では唯一日本に分布している種で、日本の分布は先ほど述べた。海外では台湾、澎湖、中国、オーストラリア北西・北東沿岸に分布している。

残念ながら上のスミツキヨウジ、もう現物は残っていない。この個体は耳石を採取したが、残念ながら標本を残すことができなかったのだ。

2013年にもこのスミツキヨウジをおくっていただいた。しかも今度は2個体である。上と下でやや形状が異なっているがこれは雌雄の差である可能性が高い。上の個体のおなかが膨らんでいるのは雄で、卵もしくは仔魚を持っているのかもしれない。となれば下は雌であろう。これらの2個体はもうすでに博物館へおくってあり、今度はちゃんとした文献になるのかもしれない。

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アネサゴチ

2016年02月16日 19時25分00秒 | 魚紹介

この間某「魚図鑑」への批判的な記事を書いたあと、その件について魚図鑑の運営者の方から対応について返事がかえってきた。かなりよい対応でありちょっと、ほっとした。その後日曜日には珍しいソコダラの仲間を見せてもらった。その某魚図鑑には現在3209種が登録されているという。そのうち私が登録したのは875種、データ数でいえば2201データとなる。しかしそれでも古いPC内データを探っているとまだ登録していない魚も多数出てくるのである。

アネサゴチもそんな魚である。アネサゴチは某図鑑にも登録がない魚で、珍しいもの、と思いきやそれほど珍しいものではない。2010年夏に小型底曳網の船に乗せて頂いたことがあったが、そこで採集されたさまざまな魚、そのなかの一種である。

ぶれていて見苦しいのですがご了承ください。採集されたときはオニゴチとおもっており、もしかしたら標本も「オニゴチ」として登録しているかもしれない。しかし胸鰭の様子がオニゴチと違うと思い、検索図鑑や「南日本太平洋沿岸の魚類」で調べまくっていたら、この種に当たった。

コチの仲間は意外と難しいグループである。小さいコチはほとんど「メゴチ」としてしまいがちだ。ちなみに釣り人がいう「メゴチ」というのは多くの場合ネズッポの仲間のことをいう。関西ではガッチョ。ノドクサリなんていったりもする。じゃあ関東の人はコチ科のメゴチを釣ったらなんていうのだろうか。釣りの本などにおいてはネズッポ類の釣り方の紹介のところに標準和名メゴチのイラストが掲載されている(写真はメゴチではなくネズッポ類であることが多い。コチ科のメゴチはあまり釣れないからね)。

結構脱線してしまったので、アネサゴチの話に戻る。アネサゴチはコチ科・アネサゴチ属の魚である。アネサゴチ属のコチはインドー太平洋の暖かい海域に生息し、8種が有効種のようである。うち日本には3種が生息している。先ほど名前が出てきたオニゴチもアネサゴチ属に含まれている。この属のもう1種はセホシオニゴチという熱帯性のコチの仲間で、2006年に新種記載された種。タイプ標本の中に沖縄県水納島産の標本が含まれる。

こちらはオニゴチ。オニゴチは関東沿岸および新潟県~九州、東シナ海に分布している。アネサゴチもほとんど同様の分布域、どちらの種も水深70mあたりの場所を曳く小型底曳網漁業ではよく漁獲されるよう。こちらのオニゴチは底曳網で直接漁獲されたのではなく、アンコウの口腔内から採集されたものである。

アネサゴチの特徴は頭部の棘にある。棘のある眼下骨隆起線が眼の側方で分断されているという特徴だ。オニゴチは、これが分断されていない。

ちょっとわかりにくいので色でマークしている。このマークしているところの間で分断されているのだ。上の写真と比べてほしい。このほかの特徴としてはオニゴチが体側に明瞭な暗色横帯が4本ほどあるのに対し、アネサゴチは目立つ横帯がないなどの特徴がある。

アネサゴチは水深150mほどの場所まで漁獲されるようである。これらの個体は2009年に沖合底曳網「海幸丸」、土佐湾の水深150mくらいの場所で漁獲されたもの。このときはこの種をセレベスゴチと思っていた。なかなかコチの類は難しいものである。

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クロオビエビス

2016年02月08日 11時15分33秒 | 魚紹介

以前、イットウダイ科・イットウダイ属のアヤメエビスをご紹介しましたが、アヤメエビスには同じイットウダイ属に「そっくりさん」がいます。以前の投稿にも登場しました「スミツキカノコ」と、今回ご紹介するクロオビエビスです。アヤメエビスとスミツキカノコはあまり似ていなくて、体色や吻の形状がちがいますが、クロオビエビスは本当によく似ており、間違えられることもあります。

クロオビエビス

アヤメエビス

クロオビエビスの特徴は頬の鱗列数が4であること、体の背側面に4~5本の赤黒い縦線が入ることです。このうち写真から頬の鱗列数が4であるとはわかりにくいのですが、体の背側面に4~5本の縦線があるということはこの写真からもあらわれています。また背鰭の鰭条の鰭膜も少しアヤメエビスとは違うようです。私が使用している「魚類検索」ではこの特徴は触れられていないのですが、背鰭鰭膜の赤黒い斑紋も特徴的ではあります。

しかし幼魚の同定はどうなるでしょうか。静岡などで採集されているクロオビエビスの幼魚の中には、おそらくアヤメエビスが多数含まれているように思われます。ただし標本がないとなんともいえません。

背鰭・臀鰭の後方及び尾柄の黒色斑はあまり目立ちません。

クロオビエビスはインドー西太平洋に広く分布する種類です。日本ではアヤメエビスほどは獲れないでしょうが高知県以布利や琉球列島などで採集されています。写真の個体は石垣島で夕暮れの時間帯に釣りで採集したもの。夕暮れでは写真の撮影が難しくこの個体の写真も若干手振れがあります。ただし遠目に見た限りではわかりにくいです。

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ホソカマス

2016年02月07日 17時10分31秒 | 魚紹介

カマス科の魚は世界でカマス属1属からなります。日本産は11種が知られていますが、いくつかのグループに分けられています。

体が大きくなり鰓耙がないもの(オニカマスなど)、鰓耙がこぶ状のもの(オオメカマス)、棒状の鰓耙が2本あり、鱗は数がすくなくやや粗く、腹鰭起部が第1背鰭直下よりも前方にあるもの(アカカマスなど)、棒状の鰓耙が1本あり、鱗は数が多くてこまかく、腹鰭起部が第1背鰭起部の直下、もしくはわずかに前方にあるもの(ヤマトカマスなど)。

日本産の魚種に限ればこの4つのタイプにわかれますが、本州から九州の防波堤で釣り人におなじみなのは後方の二つでしょう。前者にはアカカマスやタイワンカマスが、後者にはヤマトカマスなどが含まれます。

写真のホソカマスは鰓耙がひとつで、鱗がこまかくて数が多い(側線有孔鱗数140~150)、腹鰭起部が第1背鰭起部下方のわずかに前方にあることからヤマトカマスによく似た種類です。

ヤマトカマス

ヤマトカマスに似ていますが、体側には腹部、および側線と重なるように橙色の縦帯があることで、体側下方に縦帯が1本ある(不明瞭なものも多い)、ヤマトカマスと見分けることができます。またホソカマスは側線上方横列鱗数(15~16)、側線有孔鱗数(140~150)もヤマトカマス(それぞれ12~13、119~136)より多いです。

基本的には熱帯性の種類であるホソカマスは従来琉球列島から記録されていましたが数は多くないものの相模湾や紀伊半島、高知県以布利などで記録があります。この個体は三重県南伊勢の定置網で漁獲されたもの。送っていただいた漁庄丸さんに感謝です。海外では西-中央太平洋に分布し、ハワイ諸島からの記録もあります。

日本ではカマスの仲間は広く食用とされています。アカカマスやタイワンカマスは刺身、塩焼きでも美味しく、ヤマトカマスはやや水っぽいのですがそれでも干物などで美味です。しかしながら南方のオニカマスのように、食中毒を引き起こすような種もいます。このホソカマスは食用にできるのですが、残念ながらこの個体はフォルマリンで展鰭をしており、食用にはできません。

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