魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

シテンヤッコ

2024年02月17日 08時58分29秒 | 魚紹介

前回のオキイワシ同様にこれまで紹介していたと思ったら、実は紹介できていなかった魚のご紹介。ただし実はオキイワシも今日紹介する魚もデータ上では紹介していたのだが、実際には(消されて)紹介できていなかったもの。スズキ目・キンチャクダイ科・シテンヤッコ属のシテンヤッコ。

シテンヤッコの鱗

シテンヤッコは全身が黄色の魚である。しかしながら唇は青いし、鱗にはひとつひとつ点があり、よく見ると大変美しい。

シテンヤッコ頭部

おでこに一対の点があり、鰓蓋の上にも1対の薄茶色斑があるがこれが標準和名の由来であろう。しかし英語でThreespot angelfishといい、学名も「3つの点」という意味である。この4つある点のうち、どれを欠いて「3つ」となってしまったのだろうか。

この属は浅海~やや深い場所まで見られるが、概ね薄暗い、やや深場の磯で見られるようだ。もしかしたら水深だけでなく、低い水温を好むのかもしれない。グリフィスは30~60m、ブラックバンデッドエンゼルフィッシュは25~50mで183mから獲れたこともあるらしい。またキンチャクダイ科としては珍しく水中写真さえめったに撮影されていないことで有名なレユニオンエンゼルフィッシュも60~80mと、この属はおおむね深い場所をこのみ、採集できる数も少なく稀少で、流通されても数万~数十万円と高価である。シテンヤッコ自体はサンゴ礁域の浅場にも生息しているようだが、底曳網漁業で漁獲されたのを見せてもらって、驚いたことがある。ちなみにFishbaseでは3~60mほどの海底に生息するとあり、この属では比較的浅場にすむものといえるだろう。

腹部には傷があるが、これは突かれたときのものなのか、それとも水から上げるときに空気を吸い込んでしまい治療しようとした跡かは不明である。いずれにせよやや深いところにすむヤッコの仲間は減圧処理をしっかりしないと飼育するのは無理である。

シテンヤッコのお刺身。刺身は非常に美味であった。もしかすると、サザナミヤッコなどよりも美味しいのではなかろうか。今回は高知県で某氏が採集したものをいただいた。ありがとうございます。某氏によれば高知や和歌山では「いる」とのことだが、残念ながら私はいまだに本種を野外では見たことがない。観賞魚としては頻繁に輸入されており、水族館でもおなじみの魚である。分布域もこの属としては最も広く、関東地方でも幼魚がダイバーにより撮影されているほか、海外では南アフリカ東岸クアズールナタール~中央太平洋サモアにまで広く分布している。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オキイワシ

2024年02月15日 22時52分32秒 | 魚紹介

昨日は2月14日でしたが、バレンタインデーのチョコレートはもらえませんでした。

今回ご紹介するのは以前紹介していたと思いきや、実は紹介できていなかったニシン目の魚。オキイワシという魚である。ニシン科ではなく、オキイワシ科という科で、この科には2種しか含まれていない。日本に生息するのはオキイワシのみであるが、もう1種ホワイトフィンウルフヘリングもインドー西太平洋の暖かい海に生息しているので、そのうち日本からも採集されるのでないかと思われる。

口を閉じたオキイワシ

オキイワシの歯

オキイワシの英語名はDorab wolf-herringというが、その名前の通りオオカミのような牙が特徴。この牙で小魚を食すのだろう。Dorabというのはおそらく本種の基産地である紅海地域での呼び名(アラビア語)ではなかろうか。中国語では西刀魚、台湾では寶刀魚というらしく、古くは日本でも「サイトウ」と呼ばれていた。子供向けの本でも「サイトウ」「オオクチサイトウ」はお馴染みであったため(例:学研の図鑑)、それで覚えたという方も多いのではなかろうか。阿部宗明博士の「原色魚類検索図鑑」の古い版(昭和50年の第5版)では「ふとさいとう」として紹介されている。なおそこでは「オオクチサイトウともいう」とされていて、オキイワシ(サイトウ)はフトサイトウと比べるとやや大きく脊椎骨数は72~75でフトサイトウの67~73(普通70)より多いという特徴がある。しかしながらフトサイトウの学名Chirocontrus hypselosoma(属学名はChirocentrusのスペルミスか?)は現在ではオキイワシのシノニムとされているようだ。

背鰭は一部が黒い。臀鰭は黒い個体もいるがこの個体は黒くない。この特徴によりホワイトフィンウルフヘリングと見分けることができる。臀鰭軟条数は26-32であり、ヒラの仲間と同じくらい多いようである。

オキイワシは日本ではあまり食されていないが、東南アジアでは市場にも出るという。また釣りの対象魚として人気がある。今回はニシン科魚類らしく煮つけでいただく。やはりニシン目の魚ということで小骨は多かったが味自体は美味であった。ただしこの個体はかなり小さいものなので、大きいものはもっと美味しく、もっと食しやすいであろう。

分布域は北海道、若狭湾、琉球列島であるが、基本的に熱帯性である。この個体は鹿児島県産であり、鹿児島県の田中水産社長 田中積さんより。いつもありがとうございます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

学名と英名のはなし

2024年02月14日 16時16分24秒 | 魚類とインターネット
 
魚には学名というのがあり、万国で使える(万国共通とはいえないが)唯一の学術的な名称であり、確実に覚えて起きたいものである。その学名は基本的にはラテン語であり、当然ながら日本語ではない。同じく外国語の魚の名称に英名というのがあるが、これはラテン語よりはまだ馴染みのある英語であるため、これを使っている方も多いであろう。しかし、英名には落とし穴が存在する。
 
まず、学名は属学名+種小名で表すのが原則であり、これをコンビネーションというが、同じコンビネーションはありえない。例えばマダイであれば学名はPagrus majorというが、このコンビネーションは他の動物の学名としては使えない。属が変更になると当然ながらこのコンビネーションも変化するが、それにより従来から全く同じコンビネーションが存在するために種小名が変わったものもいる。一方で英名は同じ英名を複数の魚種に使ってはいけない、というルールはない。何故かというと、英名は学術的な名称とはなり得ないからである。だから複数の種に同じ英名をつけていても何ら問題はない。
 
「元祖プレコ」ことHypostomus plecostomus。本種の種小名からこの仲間は「プレコ」と呼ばれる
 
しかしながら今回はこれが大きな問題となった。最近になって幾つかのサイトやTwitter(x)のアカウントで、「プレコが陸を歩く」という動画を公開していた。しかし、その動画で陸を歩いていたのは、プレコストムスではなく、カッリクテュス科の魚であった。カッリクテュス科はロリカリア科のプレコストムスとよく似ているが、長い髭をもち、プレコストムスの特徴である「サッカーマウス」になっていない。なんか千葉県浦安市にいるアレみたいな名前だがなんてことはない、吸盤の口という意味だ。ロリカリア科の魚はこの吸盤のような口で水槽壁面や流木に吸い付く。この仲間の小型種オトシンクルスは水草水槽のクリーナーとして入れられるほど、藻類食に特化している。
一方カッリクテュス科の魚は、鱗がびっしりと目立つ以外は普通の小型ナマズである。たいそうな名前ではあるが、アクアリストにお馴染みのコリュドラスの仲間、といえばわかりやすいかもしれない。ではどうして問題が起こってしまったのか。
 
この2つのグループにはある共通の特徴がある。それはどちらもarmored catfishという英語名で呼ばれている点である。実際にもともとの動画では英名しか紹介しておらず、その英名をGoogleってみると、強調スニペットが「ロリカリア科」を案内していることから、混乱を招くことになったようだ。イギリスのどっかの島にお住まいのトップハムハット卿ならGoogleに対し「お前は混乱と遅れを招いた!」とブチ切れているはずだ。今の時代、英名だけでは通じないなら、学名も紹介する必要がある。もっとも、カッリクテュス科もロリカリア科も南米の淡水魚。そんな魚の学名を正確に記述できるかは、また別の話になってしまうのだが。なお椎名さんはじつはカッリクチュス科(コリュドラス属含め)いい画像は持っていない。写真はすべてロリカリア科の魚となる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2024年02月13日 16時52分02秒 | 未分類

あの大雪から1週間経ちましたが、まだ地面に雪が残っていました。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

釣り堀のはなし3

2024年02月12日 23時15分43秒 | 環境問題
 
さて、釣り堀のはなしも3回目ではあるが、これで最後にしようと思う。これまでは釣り堀について否定的な面を書いてきたが、最後に今後の釣り堀はどうあるべきかを考えてみたい。仕事場で書いているのでまとまりがない文章になるかも。ごめん。
 
まず、今後は今のような「大型の肉食外来魚を客寄せパンダにする」なんてやり方は通じないだろう。昨年に釣り堀にマーレーコッドを導入した群馬県の釣り堀があったが、やはりバッシングは凄まじいものがあった。まあ、これについては逸出しないようにしてほしい、というほかあるまい。
 
自然の河川の中にマス類の釣り堀を作るのはよくあることだが問題が大きい。先日の長良川の釣り堀もそうなのだが、マスの仲間はすぐに逃げ出すし、「ニジマスはコクチバスと違って日本では自然繁殖はしない」という説明をしていた人もいたが、これも単なる詭弁に過ぎないし、そもそも事実ではない。このような釣り堀では魚が逃げ出すというリスクについては先述のマーレーコッドの釣り堀以上に大きい。なぜならば必ず逸出する個体がでてくるからである。そして野外に飛び出た個体がどうなるのかなんてことは、もはやこのぶろぐの読者の方なら、もはや述べる必要さえあるまい。では今でも日本の釣り堀でよく見られるコイや、ゲンゴロウブナなどはどうなんだろう。これも水害があればあちらこちらに広がっていく。
 
もちろん、この問題はあげればキリがないし、閉鎖的な池に作る釣り堀であれば逃げださないように対策さえしっかりとすれば、一般のアクアリストが飼育するのとなんら変わらない。ただし、釣り堀はその性質上、屋外に置かれることがほとんどであることから、逸出するリスクは屋内よりもずっと高い。だとすればそろそろ屋外、特に河川をせきとめて作るタイプの釣り堀を廃止するべきなのかもしれない。釣り堀運営者だけでなく、釣る人側のリテラシーやモラルの問題でもある。なお、例によって、画像は本文とはあまり関係がない。イワナ属の一種である。私は釣り堀での釣りはしなくなって久しいし、マスを追う河川の釣りもしないので、こういう写真で勘弁してもらうしかない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする