歴史から学ばない者は賢者ではない。吉本隆明が「『社会主義』国もまた国家利益のためには侵略戦争もするし、(略)理念の対立がきわまって内戦もすれば、カンボジアのように労働者、市民、知識人の反体制運動にたいしては、戦車と銃剣で弾圧する。また経済不況やインフレもあれば、民衆が食料の欠乏に悩むこともある。こういう『社会主義』諸国家の実体が白日のもとにさらされた。これを契機に『右傾化』現象がはじまった。またこれで『右傾化』がはじまらなかったら、よほどどうかしている」(『反核異論』)と書いたのは昭和58年のことであった▼それから日本人の物の見方も変わったのである。今さら憲法9条を押し戴くのは時代錯誤も甚だしい。マスコミやサヨクがよく使う「ネトウヨ」なる人たちは、現実を直視しているからであり、その点については新左翼の大御所であった吉本も認めざるを得ないのである。それでもマスコミは過去の亡霊を持ち出して、あたかもシールズが新しい時代を切り開くかのような幻想を振り撒いている▼シールズをことさら話題にして若者に発破をかけようとするのは、社会主義への幻想が捨てきれないからである。もっとも愚かなのは、そんなマスコミの口車に乗ってしまう民主党である。政権交代な二大政党制による政治の実現は一体どこにいったのだろう。シーラカンスの日本共産党の助けを求めて、それで来年の参議院選挙に挑もうとしている。そんな野合が許されていいのだろうか。二周も三周も後を走っているマスコミの言説に惑わされるようでは、それこそ「右傾化」した国民からそっぽを向かれるだけなのである。
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