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一歳の僕へ
ボール箱に入れられていた。
十歳の僕へ
よだれたれ。
二十歳の僕へ
二十歳で死ぬと言っていたのに生きている。
三十歳の僕へ
妻が僕を「お父さん」と呼ぶようになった。
四十歳の僕へ
つまらない仕事をしている。
五十歳の僕へ
嫌われないように定年を待つ。
いい人と言われて定年を待つ。
誰かがどうでもいい人と僕のことを言っていた。
六十歳の僕へ
「おじいちゃん」と呼ばれるのにも馴れた。孫にも気をつかう男。
七十歳の僕へ
いつも死を恐れている。
八十歳の僕へ
いつまで生きているのと言われた。
九十歳の僕へ
死んでいる。
百歳の僕へ
知らない人が花を供えてくれた。なんだ君か……。