つれづれなるままに

日々の思いついたことやエッセイを綴る

マネとモダン・パリ展

2010年07月25日 | 文化
           エドゥアール・マネ作品「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」

丸の内の三菱一号館美術館の開館記念オープニング企画展は、フランスのオルセー美術館の協力を得て「マネとモダン・パリ」展である。
近代絵画の創始者と云われているマネの全貌を現する待望の回顧展である。
来場者は8割以上が女性の観覧者であった。

エドゥアール・マネ(1832-1883)は、後に「印象派」となる画家たちだけでなく、後世の芸術家たちに決定的な影響を与えた。近代絵画史上最も重要な画家のひとり。
マネの芸術の全貌を、当時のパリが都市として変貌していく様子と結びつけながら、代表的作品により、マネの油彩、素描、版画が出品されている。

(Salvastyle.comから)
マネの代表作品である「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」は、『黒い帽子のベルト・モリゾ』とも呼ばれている。
本作に描かれるのは、マネの良き友人かつ師弟関係にあり、画家の弟ウジェーヌと結婚した印象派を代表する女流画家ベルト・モリゾの単身像で、画家独特の大ぶりな筆触や平面的な画面展開、抑えられた落ち着きのある色彩などが大きな特徴である。
マネとベルト・モリゾは親密な交友関係を持つに至り、画家の代表作『バルコニー』を始め、幾度もベルト・モリゾをモデルとして作品を手がけている。
本作はマネが1872年にベルト・モリゾの肖像を描いた4点の作品の中の1点であり、観る者と対峙し、こちらを見つめるベルト・モリゾの魅力的な表情の描写は見事の一言である。
またベルト・モリゾの衣服と帽子の黒色は画面の中で圧倒的な存在感を示しているが、この黒色と背景に用いられた灰色が画面の大部分を占めることによって、本作中の色味、つまりベルト・モリゾの顔や頭髪に用いられた明瞭な茶色や肌色、すみれのブーケの控えめな青色が、より洗練された印象を観る者に与えるのである。
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