つれづれなるままに

日々の思いついたことやエッセイを綴る

ホスピタリティの心(9)

2012年07月21日 | 友人
                          ホタルの乱舞

津田令子様著作本「接客革命」(芦書房 1,575円)より転載。

◎タクシー運転手が観光大使?
椿の咲くころに、NHKのラジオ番組の取材で神奈川県の奥湯河原温泉に泊まり、帰りに駅までタクシーに乗ったときのことです。
運転手さんは、「お客さん、どこから来たの~。よく来てくれたね。熱海や箱根が近いのにね~」と気さくに話しかけてくれました。「ここは熱海や箱根みたいに何たって大きいなものがあるわけじゃないんだけど、みんな人はいいんだよな~。夏にはホタルもでるしさ~、自然がたくさんあるんだよ。一度夏にきてみなよ。ほんときれいだから」と。

もちろん私の仕事を知る由もなく、おそらくこの運転手さんは、乗る人、乗る人、みんなにこんなふうに自然体で町のPRをしているのでしょう。ご本人はPRのつもりはないでしょうが、まるで湯河原町の観光大使みたいでした。
湯河原にはホタルのシーズンにも何度もうかがっているので、運転手さんの話どおりなことはすでに知っていました。「首都圏から車で一時間ちょっとなのに、これほどきれいにホタルの乱舞がみられるなんて」と感動をしたこともあります。しかし、運転手さんの一言のホスピタリティに感動したのです。

地元の方の「一言」は旅人が「もう一度来よう」と思うきっかけになります。
「また来てくださいね」だけでなく、どのシーズンに何を観に来てほしいのか、きちんと伝えることの重要性がこの経験からみえてきます。そして湯河原であれば「湯河原の椿はいかがでしたか」という、わが町にきてくれてありがとう的な一言があると、「来てよかったな」という思いが強くなるのではないでしょうか。
一言があることで、お客さまが一気にその町のファンになり、季節をかえて「また湯河原に」となるのです。

(7月21日記)
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